どんなときも、上司や教師が「笑顔」でいなければいけない理由

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上司や教師が不機嫌な表情を浮かべているよりはにこやかでいてくれた方が、部下や子供たちは余計な緊張を強いられることもなく存分にパフォーマンスを発揮することができるものです。では「笑顔でいられるコツ」のようなものはあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、自ら実践しているという「笑顔の練習法」を紹介しています。

「何で先生はいつもニコニコしてるの?」

先日の朝、隣のクラスの子どもに「何で先生はいつもニコニコしてるの?」と尋ねられた。「みんなを見ていると、嬉しくなるからだよ」と答えた。

ちなみに、私は元来それほど愛想のいい方ではない。しかし、これは仕事をする上で、必要に迫られて努力して、意識的に身に付けてきたものでもある。そこで、今回は「教室での表情」について考える。

一般的に「ニヤニヤしている」というと、良くない印象である。一方で「ニコニコしている」というと、良い印象である。

似ているようで違うこの二つの表情は、どう違うのか。

緊張緩和のための笑いというのがある。あるいは、相手を見下すような時にもこれは出る。つまりは、自分本位の下心のある笑いである。これが意味のないニヤニヤ顔になる。自分本位から発するその表情は、相手に不快な印象を与える。

相手を安心させるための笑顔がある。例えば笑顔のプロでもある客室乗務員は、別にいつも自分自身が上機嫌で楽しい訳ではない。笑顔の方が、お客様が安心するし、声をかけやすいから、相手のためにそうしているのである。それが結果的に、自分の仕事のやりやすさにつながっている。

つまりは、自分本位のエゴか、他者視点の貢献のためかという違いである。それが、表情に出る。同じようで全く別種の表情になる。

笑顔でいるコツがある。相手を好きになることである。相手の良いところを見ようとすることである。

笑顔の練習には、赤ん坊、あるいはペットがいい。つまり「無条件に可愛がってもらえる存在」である。勝手にこっちの表情が和らいでしまうような相手である(可愛がりすぎて「デレデレ」レベルになるとやりすぎなので注意である)。

この感覚でもって相手に接する。教室に入った瞬間に出会った子どもと「おはようございます」と言い合えることに、喜びと感謝を感じられるか。目の前の子どもたちといられることを、心から嬉しいと思えるかどうか。ここに「ニコニコ」になれるかどうかの全てがかかっている。

いつもいると、この感謝の心がなくなってくる。「有難う」の反対は「当たり前」である。自分なぞの話を、毎日教室に来てまで、子どもが聞いてくれる。一体いつからそんなに立派な人間になったのか。畏れるべきことである。

そう考えると、感謝の気持ちも湧いてくる。毎朝出会えることを心から嬉しく思える。だから「ニコニコ」してしまうのである。

なお、一番良くないのがむすっとした「仏頂面」である。あるいは、眉間に皺が寄って、苦虫を?み潰したような表情。これが基本だと、怖い。かのゲーテも「人間の最大の罪は不機嫌」と喝破したぐらいだから、これは不変の真理である。

「元々こういう顔なんです」は、通用しない。相手がどう受け取るかが全てだからである。教室に教える人として入るなら、そこは客室乗務員なみの努力が必要である。

これが基本にあるからこそ、時に出す「真剣な表情」が効いてくる。「あ。これは本気だな。」と表情で伝わる。子どもにとって、わかりやすいのである。つまり、それこそが安心である。恐怖は、よくわからないという不安から生じるものだからである。

子どもにとって「わかりやすい先生」になる。そのためには、やはり笑顔が基本と考える次第である。

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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