「バーバリー」との契約終了で不振。三陽商会に未来はあるのか?

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バーバリー(Burberry)とライセンス契約を結び、日本国内にバーバリーの商品を供給していたことで知られる三陽商会。40年にわたって結ばれていた契約が終了したのは2015年でした。後継ブランドが振るわず、20年2月期は4期連続の最終赤字となる見通しです。そんな三陽商会株を5.1%保有しているRMBキャピタルが、三陽商会に身売りを要求しているといいます。メルマガ『j-fashion journal』の著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、その理由について詳しく解説。その見通しについても触れています。

三陽商会は再生できるか?

1.4期連続の赤字と企業価値の毀損 

RMBキャピタルによると、三陽商会に売却を検討すべきという理由は以下の通り。

三陽商会は、三度の希望退職を実施し、ブランド数の絞り込み、店舗の削減、広告宣伝費の削減を行い、無駄なコストをカットした。

その上で、広告宣伝費を増加させ、新ブランド投入と店舗の再拡大を行った。また、アパレル業界でのデジタル・マーケティングに強みを持つ企業を買収するなど、戦略的投資も再開した。

しかし、未だ業績回復を果たせず資本が大幅に毀損し、岩田前社長が辞任する事態に至った。

また、経済的価値の毀損以外にも、業績低迷とリストラの継続による従業員のモチベーションへの影響等も懸念される。

このままでは同社の有形・無形の資産価値が更に毀損すると、RMBは危惧しているのだ。

2.販売チャネル改革、ブランド強化

更に、RMBの分析は続く。

三陽商会がアパレル業界での地位を確保し成長を実現するためには、今後も更なる投資が不可欠だ。特に、百貨店等の伝統的な販売チャネルからEC等のデジタルチャネルに移行するための投資は必須だろう。しかし、同社独自でそのような取り組みを行う場合、投資負担が過大になる恐れがある。

三陽商会のもう一つの課題は、有力な自社ブランドが少ないことだ。新規自社ブランドの育成や、外部既存ブランドの獲得が必要だが、昨今の世界的なブランド集約化とバリュエーションの高騰から、そのようなブランドの育成・獲得は益々困難になることが予想される。

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