米の新型コロナ対策は「日本の後追い」か?在米邦人が明かす現状

 

3.各州は非常に真剣です。例えばNYのクオモ知事は「感染者1名」という段階では、「NYは世界に開かれた窓」だから「遅かれ早かれ発生は不可避」だとして、「動揺しないように」と強気でした。ですが、感染が拡大すると一気に「非常事態宣言」を打っており、臨機応変という格好です。

その一方で、政治的ライバルであるNYのデブラシオ市長は「日本やイタリアからの来訪者は14日間自主隔離」というアナウンスを行っています。現場ではそんなに真剣に適用はされていないようですが、このように州レベルと市町村レベルでチグハグというところもあります。

4.教育機関についてですが、大学は非常に神経質になっています。本稿の時点で、シアトル周辺のワシントン大、NYのコロンビア(女子大のバーナード含む)はクローズ、スタンフォード、プリンストンも「リモート授業に移行」ということで、かなり厳格に動いています。

小中高に関しては、その町村で感染者が出るとクローズということになっています。但し、アメリカの場合は、大学は勿論のこと、小中高でも「リモート授業」、つまりネット授業での対応を取っているのが特徴的です。ニュージャージー州の一部の町では、「ネット授業の体制確認」作業のために、本日1日の閉校を行って、先生たちが準備というところもあります。

5.社会的な不安感、イベント自粛ということについては、日本と非常に似ています。日本での反応が「先進国型の社会でコロナ感染が広がるとどうなるのか」というケースとして、アメリカはそのまま後追いしている感じです。

大リーグの開幕はまだどうなるか未定ですが、とりあえずバスケットボールの大学選手権など、多くのイベントが無観客などの対応になりつつあります。音楽祭の種類はかなりキャンセルが進んでいます。また、生活物資の備蓄の動きも始まっています。

6.日本との違いということでは、亡くなった高齢者の遺族であるとか、自分は感染したが治った人といったケースで、実名を出して取材に応じるということがされており、その点については少しオープンな感じがあります。

7.クルーズ船への対応では、「乗客2,000名はオークランドで下船。その後は各州の軍の基地に14日隔離」ということが決まりました。これは横浜の事例に学んでいると思います。当然と思います。

8.アメリカ人は「健康な人はマスクはしない」とか、一般的に「手洗いの習慣が非常に薄い」ということで、日本とは基本的な行動パターンが異なるわけで、その分だけ脆弱性があるわけですが、こうした点については急速に対応が進んでいるようです。

9.問題は、株の暴落です。今日はNY市場がオープンすると、約5分でS&Pの指標が7%下落となり、「サーキットブレーカー」といって自動的に15分間の取引停止がされました。その後は、更に下がったわけではないのですが、終値でも2,000ドル以上の下げとなっており、ダメージは広がっています。専門家の中には、こうなるとコロナ問題が医学的にスルーできても、バブル崩壊のスパイラルは止まらないという解説をする人もあり、かなり厳しい状況という声も出ています。

以上が、本稿の時点でのアメリカの状況ですが、では、第二の問題、つまり「新型コロナウィルスは、どうなったら正常化するのか?」という問題については、どう考えたら良いのでしょう?

十分に議論が尽くされたわけではないし、政府も、また各国の専門家も特に方針を明らかにしているわけではありません。ですが、現時点で言えることは次のようなことではないかと思います。この点に関しては、引き続き、読者の皆さまのご意見を頂戴したいと思います。

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