言いたくはないが敢えて苦言。安倍内閣は予備費を何に使ったのか

 

そもそも予備費が大きく増減すること自体おかしい

そもそも先進国の歳出というのは、それほど各項目の金額増減があるものではありません。各項目の大枠はある程度決まっていて、議会などで決められるのは微調整や臨時的に必要な支出についてだけなのです。日本のように「予備費」が政権交代によって半減するなどということは、欧米の先進国ではほぼあり得ないことなのです。

日本の場合は、なぜか歳出の各項目について、毎年、毎年、一から決められる建前になっており、かなり増減幅が生じるのです。つまり、予算決定の仕組みにおいて、政治家や財務官僚の裁量の余地が大きいのです。またこのことが、政治の腐敗や財務官僚の権力巨大化につながっているのです。

また本来、予備費というのは、予算の中で決められた割合でストックされるものなのです。政権の裁量で増減されるというのは、おかしいことですし、日本の歳出の大きな欠陥でもあるのです。これは日本の財政の大きな欠陥ではありますが、今回のテーマからははずれるのでこれ以上は言及しません。

社会保障関連費と防衛費の増額は仕方がないとしても

では、安倍内閣になってから増加した予算項目を見ていきますね。安倍内閣になって増加した歳出項目には、まず社会保障関係費があります。が、この社会保障関係費は逓増という感じであり、また安倍内閣以前からずっと増え続けているので、安倍内閣に限って増加した予算とは言えません。国の歳出から出した社会保障関係費は次の通りなのです。

平成23年度      28.3兆円
平成24年度      28.9兆円
平成25年度(安倍内閣)29.1兆円
平成26年度   ↓   30.5兆円
平成27年度      31.5兆円
平成28年度      32.0兆円
平成29年度      32.5兆円
平成30年度      33.0兆円

 

厚生労働省作成資料「最近の社会保障関係費の伸びについて」より

この社会保障関連費の推移を見ると、高齢者が増えている割にはそれほど社会保障関係費は増えていないということがわかります。むしろ、高齢者の増加の勢いと比較すれば「抑制している」とさえいえるでしょう。またこの程度の増加率では、予算を圧迫しているとまでは言えないはずです。この程度の増加であれば、税収の自然増やほかの項目費用を少し削減すれば、十分に賄える額だといえます。「社会保障費の増大のために増税が必要」という消費税増税時の言い訳は、かなり無理があるといえるはずです。

社会保障関連費の次に安倍内閣で歳出が増加した項目で目につくのが防衛費です。防衛費の推移は次のようになっています。

平成23年度      4兆8043億円
平成24年度      4兆8310億円
平成25年度(安倍内閣)4兆8417億円
平成26年度   ↓    5兆910億円
平成27年度      5兆1497億円
平成28年度      5兆1462億円
平成29年度      5兆2702億円
平成30年度      5兆4603億円

 

財務省統計表第18表より

まあ、防衛費の増加は北朝鮮情勢や中国の海洋進出などもあったので、この程度の増加はそれほど目くじらを立てるものではないと言えるでしょう。

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