伝え方が問題。報ステ富川アナのコロナ感染報告に批判殺到の訳

shutterstock_1484290052
 

テレビ朝日「報道ステーション」が13日に番組内で行った、富川悠太アナウンサー(43)の新型コロナウイルス感染症罹患の報告に対して、各所から批判の声が上がっています。一体どこに問題があったのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で「ニュースステーション」初代お天気お姉さんとして活躍した健康社会学者の河合薫さんが、元出演者として、そしてメディアに身を置く人間として、今回の「報告」の問題点を分析・考察しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年4月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

報ステ“コロナ問題”対処への私見

「報道ステーション」(テレビ朝日系)のMCの富川悠太アナウンサーが新型コロナウイルスに感染していた問題で、13日(月)の番組冒頭で、代役の小木逸平アナが経緯を報告しました

その内容に関しては、SNSで賛否両論飛び交っています。かなり辛辣なものも多く、目を背けたくなる内容もありました。

個人的な話になりますが、私は久米宏さんの絶妙な“間”とシニカルなツッコミで一世を風靡した「ニュースステーション」でデビューした気象予報士第1号の元お天気お姉さんです。1994年~99年まで出演し、その後はTBSの朝の情報番組に出演していました。

ですから、報ステの経緯報告も出演者を経験した一人として見ていました。

自分が出演者だったときに、スタッフがどんな風に動いてくれていたか。自分が出演者だったときに、プロデューサーがどうマネジメントしてくれた?そして、自分が生放送で問題になりそうな発言をしてしまったとき、番組はそれをどう扱ったか?…etc.etc.,

そんな経験から率直な意見を言わせていただくと、今回の問題は「経緯報告の内容」そのものではなく、むしろ伝え方に問題がある。そうです。伝え方こそが問題なのです。

アナウンサーに原稿を読ませるスタイルをとったことは、残念としか言いようがありませんし、原稿を読むアナウンサーを気の毒にさえ思いました。

「番組MCの問題」としてではなく、「番組の問題」として考えて欲しかった。

報道番組としてのミッションを、プライドをもって発揮して欲しかった。

今まさに問題になっている感染拡大を考える上でも「アナウンサーに原稿を読ませて終わりにしないでくれよ」と。もっと見ている人のためになる伝え方、知ってほしい報じ方をすべきだったのではないでしょうか。

番組のプロデューサーや報道局長が出演することだってできたでしょう。

「濃厚接触者」はどういった基準で決められるのかも知りたかったです。

熱が出て下がるという状況は新型コロナ感染者で見られる傾向なのか?あるいは、解熱剤を飲んだことによるものなのか?

オンエア中に痰がからんでいたのを私は見ていたので、「大丈夫なのかな?」と思いましたが、本人やスタッフは全く疑わなかったのか?

多くの人たちが感染することの不安、感染させてしまうことの不安を抱えているのですから、見た人が「見てよかった」「知ってよかった」という情報を届けて欲しかったです。

だって「感染者の方にインタビューしてきました!」とVTRを流したり、「感染者の行動はこうでした!」とフリップを出したりしてたじゃないですか。さんざん取材をしていたのに、なぜ「自分たち」を取材しないのか?

自分たちを「当事者」として、伝えなかったことが、いちばんの問題なのです。

print
いま読まれてます

  • 伝え方が問題。報ステ富川アナのコロナ感染報告に批判殺到の訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け