新型コロナは「正しく恐れる」渋沢栄一の教えから学ぶ現状考察

 

日本の「基礎は強固」

4月4日の時点で、人口百万人あたり、日本は0.6人でした。それと比べると、新型コロナウイルスが発祥した中国は2人で、検査数が多い韓国は4人です。他のG7先進国の人口百万人対比の死亡者を比べると米国は26人、ドイツは17人、英国は64人、フランス116人です。

やはり、深刻に突出しているのはイタリアの254人です。G7で日本の次に低いのは人口密度が低いカナダの6人です。イタリアと同じラテン系のスペインは256人であり、且つ、現在の重症者数は約6,500人でイタリアより多いので、新型コロナウイルスで死者が絶対数でも、一番多い国になるかもしれません。

社会福祉国家として憧れの声が日本でよく上がるスウェーデンは37人で、人口あたり死亡者数は日本の約52倍です。当初、爆発的に感染者が増えているというニュースになったイランは41人に抑えていますが、重症者数が約4,100人なので、これから増える可能性があるでしょう。

一方、アジアで新型コロナウイルス感染症に優れた対応力を見せているのは台湾の0.2人で、あっぱれです。シンガポールは1人で人口対比では日本より多くなっています。

データは過去から今までの現状しかわからず、これからの現状を正確に当てることはできません。毎日ジワジワと増えている数値なので、急増するかもしなく、予断を許されません。ただ、何か理由があって、日本人の重症者・死亡者数が比較的に低いとしか思えません。その「何か」はACの時代の「繁栄」に重要な要素であるのかもしれません。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □
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『論語と算盤』道理ある希望を持て
この信の一字を守ることができなかったなら
我々実業界の基礎は強固ということはいえない

信用はその企業の規模を問わず、最も重要な資本です。そして、その信用の本源とは、企業が掲げている看板やブランドではなく、そこで働いている人たちです。ただ人がいるから、ウイルスは人へと感染します。

だから人は自らの行為や慣習で感染を抑制しなければなりません。日本の人口対比で死亡者が少ないことは、その証ではないでしょうか。今回のパンデミックの総括の際には日本の信用にさらに高めるものになるかもしれません。

渋沢栄一の言葉を借りれば、日本の「基礎は強固」であるということでしょう。

『論語と算盤』大丈夫の試金石
 足るを知りて分を守り、これは如何に焦慮すればとて、
   天命であるから仕方ないとあきらめるならば、
      如何に処しがたき逆境にいても、
        心は平らかなるを得る。

「自然的逆境に立った場合」の渋沢栄一の教えです。要は、自分が何かを失ったことにより、何が有るかに気づき感謝する。やるべき(例えば、うがい、手洗い、マスク着用、人混みを避ける等)をきちんとやって身を守る。そして、ジタバタするより、場合によっては思い切って断念する。

これらは、新型コロナウイルスの感染が日本で広まった当初、知人の医者がSNSで教えてくれた「正しく恐れましょう」という行動指針に通じるものがあると感じています。

どうぞご自愛くださいませ。

謹白 渋澤 健

image by: shutterstock

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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