誰の差し金か?台湾を怒らせたWHOテドロス事務局長の言いがかり

kou20200417
 

以前掲載の「新型肺炎の拡大防止よりメンツを選んだ中国『WHO恫喝』の魂胆」等でもお伝えしたとおり、これまで頑ななまでに台湾の加盟を認めてこなかったWHOですが、4月8日に行われた記者会見でのテドロス事務局長の発言が台湾の人々を激怒させています。台湾出身の評論家・黄文雄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、その発言の内容と、思わぬ「中傷」を受けた台湾の著名人らが取った行動を紹介。国際社会での不当な扱いに屈せぬ台湾の姿を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】台湾発「WHO can help?」が世界に問いかけること

台湾の声を届ける有志企画の広告、米紙に掲載 WHOが反論

WHOが何かと話題を振りまいています。トランプ大統領が、WHOは中国寄りで基本的な任務の遂行を怠ったとして、資金拠出を停止するように指示しました。報道によれば、米国のWHOへの拠出は世界最大。2019年の拠出は4億ドル以上で、WHO予算の約15%を占めたそうです。

WHO事務局長、米の資金拠出停止「遺憾」 新型コロナで結束要請

これに対して、WHOはすでに「遺憾だ」との声明を出しています。一説には、新型コロナへのトランプ大統領の初動対処の遅れをWHOに責任転嫁するためにWHOを標的にしたとの見方もあります。確かに、アメリカの感染者と死者が世界最多となっている状況では、トランプ大統領の責任を問われても仕方ないかもしれません。武漢の感染者がピークだった頃、トランプ大統領はアメリカは大丈夫だと楽観視していたのも事実です。

トランプ大統領のこの決定に対しては、国際社会からも非難が相次いでいます。EU、フランス、ドイツ、ロシア、イランなどから、今は人道的援助資金を削減するときではないとの声が出ています。

トランプ氏のWHO拠出金停止、国際社会から非難相次ぐ

しかし、トランプ大統領の言っていることは間違いではありません。WHOは一貫して中国寄りの発言をしてきていますし、台湾に対して非常に無礼な態度を取り続けています。

すでにこのメルマガでも取り上げましたが、台湾のWHO加盟について記者から質問を受けた幹部は、答えをごまかしました。また、台湾から人種差別的な攻撃を受けたとして、テドロス事務局長が台湾を名指しで批判しました。さすがにこれに対して、台湾当局は根拠のない中傷だと反発しました。蔡英文総統はフェイスブックで以下のように反論しました。

台湾は長年国際組織から排除され、誰よりも差別と孤立の味を分かっている。テドロス事務局長にはぜひ台湾に来てもらい、差別を受けながらも国際社会に貢献しようと取り組む姿を見てほしい。

WHO事務局長「台湾から人種的な中傷」に台湾が反論

新型コロナでは世界中で唯一ウイルスの封じ込めに成功し、感染者ゼロの日もある台湾の政策は、世界が学ぶべき点が多々あります。そんな優等生の台湾に対して、WHOからの突然の非難に、台湾側は驚くと同時に怒りを抑えきれません。ネットではテドロス氏への抗議が相次ぎ、人気タレントたちも声を上げました。以下報道を引用します。

人気グループ・フェイルンハイ(飛輪海)出身の俳優で歌手AARONは、フェイスブックに英文で抗議の意を表明。「世界があなたの間違った指導で苦しみ、深刻な経済的損失、医療崩壊を招いているのに、国際的な場で自分の個人的なことを演説する神経に驚かされる。黙って自分の仕事をしろ」と書き込み、この投稿がネットユーザーの間で広く支持されている。このほか、今年2月にWHOへの批判を込めた楽曲「WHO」をリリースした人気ラッパーの大支(Dwagie)らも、それぞれ抗議の声を上げている。

WHO事務局長「台湾から人種差別を受けた」、俳優AARONら人気タレントが発言に猛反発

さらに、台湾の有志が集まり、WHOの言いがかりに対して反論する広告をアメリカのニューヨーク・タイムズ紙に出しました。広告費用をクラウドファンディングで募ったところ、2万6,000人から約2,000万台湾ドル(7,100万円)集まったそうです。そして出された広告に内容は、以下のような内容でした。報道を引用します。

広告は上下で対比したデザインになっている。上部にはWHOをイメージしたとみられる青色で「WHO can help?」と書かれ、下部では「Taiwan」と宣言している。

 

小さな文字で「孤立した時代に、私たちは連帯を選びます」とのメッセージもある。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)での辛い経験や、WHOから台湾が排除されている現実、台湾が諸外国へ新型コロナの感染拡大に向けて支援している点に触れ、

「あなたは一人じゃない。 台湾はあなたと一緒です」

「誰が台湾を孤立させることができるか?いや、誰もできない。なぜなら私達は手助けるためにここにいるから」

「コレは秀逸」「パンチが効いてる」 WHOへ強烈メッセージ、台湾市民が米紙に全面広告

広告の特設サイトもあります。

WHO can help? Taiwan.

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