すべてはメンツと利権死守。アビガンを厚労省がすぐ承認できぬ闇

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新型コロナウイルス感染症の治療薬として5月中の承認が期待されたものの、残念ながら見送りとなってしまった抗ウイルス薬「アビガン」。ロシアからはアビガンのジェネリック品が暫定承認されたというニュースも入ってきていますが、なぜ開発元を抱える我が国では未承認のままなのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、その裏にあるにわかに信じがたい理由を暴露しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

なぜアビガンはなかなか承認されないのか?厚生労働省という利権集団

日本政府の新型コロナ対策は、後手後手に回ったと批判されています。

死者の数などは欧米よりはかなり少ないですが、これは東アジア諸国共通の現象であり、日本のやり方が成功したとは到底いえないものです。むしろ、死者の数は東アジアでは最悪のレベルです。人口比での死者数は台湾の数十倍、韓国の数倍に達しています。

また日本のPCR検査は世界最低レベルであり、現在、感染者が減ったとはいえ「本当に減っているか」不安に思っている国民も多いはずです。

この新型コロナ対策が後手に回った要因の一つとして、厚生労働省の存在があります。

筆者はこれから2回に分けて厚生労働省の悪事に関して書くのですが、それは書いている筆者自身が気分が悪くなるほどです。読んでいる方の中にも気分が悪くなる方が大勢いると思われます。ですが、これが日本の厚生労働省の現実なのです。国民として知っておかなければならない情報です。

厚生労働省というのは、医療、保健分野だけではなく、労働行政や社会保障まで管轄する非常に権力の大きい象徴です。古今東西、こういう権力の大きな省庁というのは、得てしてその権力をかさに着てやりたい放題やる傾向にあります。

では今の日本の厚生労働省はどうかというと、まさに「悪辣官庁」の見本というような官庁なのです。またこのことが新型コロナ対策での政府の対応のお粗末さにつながっているのです。

ところで新型コロナ対策で日本でPCR検査が増やせなかった要因の一つとして、「設備の不足」というものがあります。日本では、PCR検査をするための設備が不足しており技師の数も不十分なのです。科学技術大国を自認する日本が、なぜこういうことになっているのでしょうか?

はっきり言えば「厚生労働省」という「利権集団」が原因なのです。彼らが自分たちの利権を守るために、日本でPCR検査を機器などの導入を遅らせてきました。そして、これほど被害が拡大した現在でも、その悪の手を緩めず、まだこれらの機器の導入には大きな障害があるのです。

たとえば、わかりやすい例をご紹介しましょう。日本には、最新鋭のPCR検査機器を製造している「プレシジョン・システム・サイエンス」(PSS社)というメーカーがあります。PSS社は、PCR検査について現在手作業で行われている部分の多くを自動化し、しかも早く正確に判断できる「全自動PCR検査システム」を開発しています。

この「全自動PCR検査システム」を使えば、現在の手作業では一つの検体の判定に時間かかるところを、たった2時間で8検体または12検体の判定が可能になるそうです。

このPSS社は、フランスのメーカー「エリテック社」に技術供与しており、エリテック社製のPCR機器はフランスの医療現場で採用され大活躍しています。このことでPSS社は、駐日フランス大使から感謝状をもらったというのです。

このように世界的にも認められている「全自動PCR検査システム」であり、これを導入すれば、日本のPCR検査は一気に進むはずです。しかし、なんと日本の厚生労働省は、医療機器として認可していないのです。しかも、新型コロナの被害が拡大し、政府が非常事態宣言を発した現在でも、認可される兆しはないのです。

だから、せっかくの日本のメーカーがつくった世界最新鋭のPCR検査機器を日本の医療現場では使えないという状況になっているのです。今でも日本のPCR検査の現場では手間のかかる手作業で行っているのです。このような例が、医療界全体でここかしこにあるのです。それが、「PCR検査の技術において日本が遅れている」という状況を作り出しているのです。

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