一触即発の朝鮮半島。唯一巻き添えを食う可能性がある日本の運命

 

今週一気に過熱した南北の対立に際し、北朝鮮はどうも本気で“やる気”ですし、そこに韓国も受けて立つ姿勢を示したことで、残念ながら事態は70年一気に戻ってしまった気がします。

通常、北朝鮮をめぐる情報については、いろいろなものが入り乱れ、実状がつかみにくいのですが、今回は北朝鮮側に付くことになるだろう中国やロシアから流れてくる情報も、当事者たる韓国や米国、Five Eyesというsurveillanceシステムで米国と共に北東アジアを見ているオーストラリアや英国から入ってきた情報も含めると、「今回については、何らかの武力衝突は必然で、その規模については分からないが、ハンドリングを誤ると、朝鮮戦争の二の舞となり、世界が朝鮮半島を巡る戦争に巻き込まれる可能性が高い」という見解が出てきました。

今、“世界”は、再び起こる可能性が高くなった朝鮮戦争、それも70年前よりもはるかに近代化した戦争に備え始めました。コロナ渦でショックを受けた各国にとっては、本来であれば戦争の準備などしている場合ではないのですが、朝鮮半島は第2次世界大戦と冷戦の名残を残した最後の『地政学上の戦略拠点』と位置付けられており、これまで数週間にわたって触れてきた“現在の2大覇権国”である米中の最新かつ最もホットな衝突スポットになるのではないかと懸念されています。

もしそうならば、以前、このコーナーでも何度か懸念を示したように、朝鮮半島が新しい世界大戦のトリガーになってしまうというシナリオに進むことになるのですが、実際には今、米中露どこも朝鮮半島を巡る戦争には関心がなく、南北朝鮮を守るために介入することはしないでしょう。

理由の1つは、新型コロナウイルス感染拡大が変えた世界の実情というのがあります。中国は首都北京での感染第2波が襲ってきているようで、加えて習近平政権はアメリカとの貿易戦争や東南アジア、特に南シナ海での覇権拡大のための南沙・西沙諸島での軍事的プレゼンス拡大に手一杯です。そして、もちろん香港問題は最大の関心事項です。

もちろん6月18日まで17日間連続で沖縄県尖閣諸島海域に海警の船舶が侵入するという尖閣諸島および東シナ海での威嚇というのも日米(韓)にとっては由々しき安全保障上の問題ですが、こちらについては、アメリカも韓国もどうも煮え切らない態度に思えますので、実質的には日中間の問題となっているように思われます(もちろん日本にとっては許せない事態ですが)。

そして、今、中国は、同じく今週に緊張が高まったインドとの武力衝突とその後遺症に急ぎ対応する必要があり、朝鮮半島にフルで対応することは叶いません。要するに、中国としては、今、北朝鮮が“勝手に”仕掛けている威嚇行為には与せず、戦争に発展しないように自制を促してはいますが、戦争やむなしの場合は、そのために犠牲を払う気は毛頭ないというように理解できます。

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