一触即発の朝鮮半島。唯一巻き添えを食う可能性がある日本の運命

 

一方、アメリカのトランプ政権ですが、こちらも朝鮮半島情勢には関心が高くありません。米朝首脳会談と合意内容の履行(特に北朝鮮の非核化)が遅々として進まないことに業を煮やし、再三の北朝鮮からの威嚇をスルーし、大統領選が決着するまでは北朝鮮問題には触れないと切り捨てています。

さらには、以前より何度もお話ししていますが、アメリカによる韓国切りは修復不可能なレベルまで達しているため、中国への対抗と同盟国・日本の防衛という観点を除いては、朝鮮半島への介入はオプションとしては入っていないとのことです。

政権の高官の言葉を借りると、「南北で開戦するというのは決して望ましい事態だとは思わないが、仮に開戦した場合でも、アメリカは、日本への攻撃が行われるか、中国が参戦するような事態にならない限り、介入しない。あくまでも自制を求めるだけだ。個人的な意見だが、中国も今回は介入しないだろう。朝鮮民族の夢としての半島統一は、この際、自分たちだけで叶えればいい。韓国に関わるのはもうたくさんだ」とのことです。

当然、北朝鮮も韓国もそのような状況は理解しているでしょうから、普通に考えれば、緊張が高まり、軍事的な対峙があったとしても、これまでのように戦争にまでは発展しないだろうと、Point of No Returnを超える前に踏みとどまることになると思われますが、どうも今回、北朝鮮側の鼻息が違う気がして仕方がありません。その最大の理由は、北朝鮮側で今回の騒動を主導しているのが、トップの金正恩氏ではなく、金与正氏だということです。

私もメルマガで取り上げましたが、今年、再三、金正恩氏の安否問題・健康問題が話題となり、誤報扱いにはなりましたが、CNNは金正恩氏死亡説や重体説を流しました。一応、生存はしているようですが、確実に北朝鮮の金体制内では大きな変化の兆しが見られます。その最たるものが、金正恩氏の最愛の妹にして、実質的なナンバー2とされる金与正氏が表舞台に出てくる回数が格段に増えていることです。

「金正恩氏は生きていたとしてもかなり体調が悪く、また3人の実子たちもまだ幼い。ゆえに、最も信頼する与正氏に実権を譲るのではないか」との憶測がでる原因になっています。実際には、儒教思想が強い北朝鮮においては、女性である金与正氏がいきなりリーダーの座に就くということは考えづらいとの見方が多いのですが、金与正氏の今後を占うイシューがあるとすれば、「いかにして軍部を掌握し、120万人を超す軍を統括できるか」という点です。

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