自民党がやらかした、広報フェイク投稿と二階幹事長のピント外れ

kawai20200624
 

自民党広報が憲法改正に関するツイートで、ダーウィンの進化論を誤用したのにも関わらず、二階俊博幹事長が問題視しない見解を示したことが話題となっています。この件について批判的な立場を明らかにしたのは、健康社会学者の河合薫さん。河井さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、そもそもなぜこのような誤用が起きるかを考察。さらに「憲法改正」を訴えるために『進化論』を用いる不適切さを指摘しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

ダーウィンも喜んでる?

フェイクニュースならぬ、フェイクツイッターを自民党広報がやらかしました。

投稿は「憲法改正の必要性」を訴えるもので、「もやウィン」という架空のキャラクターが4コママンガで、

「ダーウィンの進化論ではこういわれておる」
「最も強い者が生き残るのではなく最も賢い者が生き延びるのでもない」
「唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である」

などと説明していました。

これに対し専門家から「ダーウィンはそんなことは言っていない」「撤回すべきだ」などの批判が相次いだのです。

もやウィンのこの説明は誤用例として有名で、米ルイジアナ州立大の教授が1963年、ダーウィンの著作『種の起源』から誤って引用したのが始まりとされています。

これに対し、自民党の二階俊博幹事長は23日の記者会見で「何を言っても、そういうご意見が出るところが民主主義の世の中であって、この国の良さだ。おおらかに受け止めていったらいいんじゃないか。ダーウィンも喜んでいるだろう」と、広報のツイッターを問題視しない見解を述べたそうです。

…まぁ、なんでもあり、ってことです。

とはいえ、こういった誤用はインターネット時代の産物とでもいいましょうか。学生のレポートなどでは日常茶飯事です。

以前、講義で「本田宗一郎」についてプレゼンした学生が、パワポにどこからどうみても本田宗一郎氏に見えない写真を、堂々と使っていたことがありました。

発表内容も「それ、どこの情報??」という首を傾げたくなるものばかりで、学生に問うたところ、「本田宗一郎でググったら、出てきた」とあっけらかんと語るのです。

図書館で原本に当たれば起こりえない誤用が、ネットではいとも簡単に起こる。その情報が「どこの、誰に」による、「いつ」のものか?を確かめることなく、引用先を掲載することもなく、ドヤ顔で使うのです。

学生なら、教師の指摘で「情報の扱い方」を学ぶことができますが、大人になるとそれを指摘してくれる人は…いません。「いる」とすれば、外部の人。まさに今回のように、です。

とはいえ、そのやらかしを「ダーウィンも喜んでいる」と“上”が認めるとは…。んったくどうなっているのか。なんでもアリということなのでしょう。

そもそも専門家が、今回の誤用を問題視するのは、ダ─ヴィンの学説が社会学者や政治家たちに都合よく使われきた歴史があるからに他なりません。

「進化」「繁栄」といった言葉が、「差別」や「選別」に勝手に変換され、人種や障害者差別、強者の論理を正当化するために使われてきました。つまり、生物学以外の文脈に「進化論」を安易に用いるのは適切ではないのです。

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