元国税がバラす、キャリア官僚「闇の早期退職制度」のムダと迷惑

 

莫大な富を手にするキャリア官僚

このキャリア官僚には、国民の社会経済において非常に迷惑な欠陥を持っています。キャリア官僚の「退職システム」と「その後の再就職に関するシステム」は、巨額の税金を浪費しているのです。その仕組みを説明しましょう。キャリア官僚というのは、その報酬自体はそれほど高いものではありません。最高のポストである事務次官でも、年収は3,000万円程度です。一流企業であれば、年収3,000万円程度はざらにいます。それに比べれば、それほど高いとは言えないでしょう。

が、キャリア官僚の場合は、やめてからがスゴイのです。彼らは、退職した後、様々な企業や団体の顧問になります。その報酬が桁外れなのですこの退職後の報酬により、10年足らずで、10億円近く稼ぐ人もいるのです。

キャリア官僚が、生涯でどれくらいのお金を稼いでいるのか、統計調査などは行われておらず、正確な実態は明らかになっていません。が、あるキャリア官僚が、「自分の先輩がどのくらい稼いでいるのか」を調査し、記録した資料があるのです。週刊朝日の2012年8月3日号に載った次の記事を見てください。

元国税庁長官が極秘作成 幹部の「天下りリスト」と「生涯賃金10億円」の証拠

 

本誌が追及してきた元国税庁長官の記事が波紋を呼んでいる。元長官が極秘で歴代財務事務次官(25人)、国税庁長官(25人)の納税調査資料を作成し、財務省に衝撃を与えているのだ。

 

この元長官は、財務省主税局、国税庁で一貫して税制改革に携わり、“税のスペシャリスト”として、現在も永田町、霞が関、財界に強い影響力を持つ大武健一郎元国税庁長官(66)だ。週刊朝日に告発した妻(61)によると、大武氏は国税庁長官在任中(2004~05年)、「先輩の資産を辞めるまでに調べ上げてやる」と語っていたという。

 

その資料には、歴代国税庁長官、財務事務次官の01~04年の天下り先と、納めた所得税額が記されている。税理士に依頼し、その所得税額から、03、04年に得た給与収入を推計した。

 

推計年収は内部資料に記された所得税額が、すべて給与収入によるものと仮定し、算出した。不動産、株など、他の収入は考慮していない。たとえば、国税庁長官から公正取引委員会委員長に天下り、現在も在職中の竹島和彦氏は03年の推計年間給与収入が2,983万円。また、国税庁長官と大蔵事務次官の経験者で、天下り先が日本たばこ産業会長やイオン社外取締役であった小川是氏は、03年の推計年間収入が5,427万円だった。

 

事務次官、国税庁長官経験者らの退職金は約7,000万円で、「わたり」をうまくやれば、生涯で8億~10億円を稼げるとも言われる。大武氏の・極秘調査・のおかげで、その実態がリアルに明らかになった。

(「元国税庁長官が極秘作成 幹部の『天下りリスト』と『生涯賃金10億円』の証拠」2012年7月23日 週刊朝日配信)

この記事を見ると、最高幹部に登りつめて退職したキャリア官僚は、だいたい生涯で8億円から10億円の収入を得ているというのです。普通のサラリーマンの生涯収入の4~5倍です。しかも、彼らはこの金のほとんどは退職後の10年足らずのうちに稼ぐのです。

ここで言われている「わたり」というのは、天下り先を数年ごとに変えていき、いくつもわたり歩くということです。この「わたり」によって、彼らは短期間で巨額の荒稼ぎをするのです。

こういう美味しい制度があるために、官僚たちは一生懸命、天下りを受け入れてくれる企業に便宜をはかろうとします。電通やパソナが濡れ手に粟で、巨額の委託金をせしめるのもこのためなのです。

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