給付金を全額寄付した人はなぜ「辞退」の道を選ばなかったのか?

 

それだけではない。こういう状況下こそ迅速かつ正確、誠実な情報開示が必要であるにもかかわらず、専門家会議の議事録は秘匿する。批判が出れば当事者にも知らせずに解散する。学者の口を封じるためには大層な肩書を与えてでも黙らせる。こんな政府をどうして信じられようか。

戦いの正念場で統合参謀本部を解散するとはどういうことか。一つあるとしたら敗戦処理だ。もう負けたつもりでいるのか。まだ国民は必死に戦っている。諦めずに必死に戦っている。そして苦境にあっても猶善人であり続け、支援の手を伸ばしてくれる人が数万もいる。日本は確かに捨てたものではない。しかしその一方で、早々に捨ててしまいたいものも多い。

ふと、こんなことを思ったりする。この国における究極の民主主義は給付金というかたちでこそ最も顕著に発動するものなのではないか、と。同じ額をもらっても、生活に余裕のない人はそのまま生活費に、生活に余裕のある人は消費に、心に余裕のある人は寄付に、と民意あるいは善意が行動にそのまま反映される。

逆に言えば、同じ金を使うなら給付金が一番いいように思う。一番ロスが少ないし(不公平なまでに)平等でもあるからだ。そう、まるで選挙権だ。違うのは18歳未満にも与えられるところぐらいである。

にもかかわらず性懲りもなく「なんたらキャンペーン」だの「かんたらポイント」だの「うんたら券」だので、またどこかの大企業に一儲けさせるつもりなのだろうか。そんなバカはもうやめてもらいたい。今ならまだ間に合う。ぎりぎりだが、まだ間に合うのである。

image by:Saranya Phu akat / Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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