台湾を見習え。日本人の英会話下手はビジネスで馬鹿にされ続ける

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「アジアで最低レベル」とも言われる、日本人の英語力。そのために被っている損害も甚大なようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では世界的エンジニアの中島聡さんが、日本人が通訳なしの交渉ができないため、ビジネスの現場で大きな損をしているという事実を記すとともに、日本が国連の常任理事国入りできない理由も英語力のなさにあると指摘しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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台湾政府が、政府が出す情報を英語化したり、英語のみの放送局を作ることにより、10年間かけて「日常的に英語を使う環境」を整えて、国民全員をバイリンガル化しよう、という計画を発表したという報道です。

私は、ここ20年ほどは、日米をまたぐ仕事をしていますが、そこでつくづく感じるのは、「英会話が出来ない」ことが日本人にとって、大きなハンデキャップになっており、多くの場面で、損をしているということです。

少し前に、私は日米間の会社の買収交渉の真っ只中にいたことがありますが、とにかく日本サイドの人たちが英語でまともに交渉できないので、肝心なことが伝えられず、米国人からは馬鹿にされ、結果的に破談になってしまいました。

日本にもそれなりに英語を話すことが出来る人はいるのですが、交渉の厳しい場面になると、「当事者が本音で大人の交渉をする」必要が出てくるのですが、そこが日本人は圧倒的に弱いのです。例えていうならば、米国人は自ら運転席に座ってハンドルを握って運転しているのに、日本人はリモコン操縦しているようなイメージです。

米国企業が作ったものが、次々と業界スタンダードになるのに比べて、日本企業が作ったものは、どんなに優れていても相手にされずにガラパゴス化してしまうのも、やはり英語力の弱さ(結果としての、交渉力・説得力・政治力の弱さ)によるところが大きいのです。

「大人の交渉」とは、必要に応じて会議の席で(放送禁止用語を使って)罵る、決裂した会議の後に、交渉相手のキーパーソンに個人的に近づいて本音を聞き出す、ビジネスの相手と家族ぐるみの付き合いをする、などです。流儀は違えど、日本国内では「大人の交渉」が出来ている人が、途端に米国人相手だと、それが全く出来なくなってしまう例を、私はなんども目撃しています。

iモードやお財布ケータイが典型的な例です。NTTドコモは、CHTML(Compact HTML)という携帯電話用のブラウザーの仕様を定めてiモードという世界初のモバイル・サービス・プラットフォームを作りましたが、政治力の弱さからWAPというCHTMLよりもはるかに劣る業界標準を作られて市場から締め出されてしまいました。モバイル端末用のJavaの仕様に関しても、ほぼ同じことが起こりました(iアプリ vs. J2ME/MIDP)。

ジブリの作品がディズニーによって飼い殺しされているのも同じ理由です。通訳や代理人を間に立てていたのでは、厳しい交渉は出来ないのです。

これはビジネスの場面だけでなく、政治の世界でも日常的に起こっています。国連に対して、大量のお金を出しながら、いつまで経っても常任理事国入りが出来ないのは、日本の政治家が通訳を挟まずに、「大人の交渉」をすることが出来ないからです。

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