ブリヂストン「賢いタイヤ」の未来感がすごい!データで世界を革命する方法

shutterstock_1224349384
 

大手タイヤメーカーのブリヂストンがデータを活用する「賢いタイヤ」という戦略を打ち出しました。顧客にほかにない価値を提供することで競合との差別化を図る狙いについて、メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが解説。JALとの取り組みから始まり、自動車向けに拡大していったときには「売り切り」から「継続」へと商売のあり方も変わっていくと期待を示しています。

なぜ、ブリヂストンのタイヤは“賢い”のか?~IT製造業としてデータで差別化を図るチャレンジ

ブリヂストンが「賢いタイヤ」という考え方で、新しい仕組みを構築しています。単にタイヤを作って売るだけでは、競合と差別化できなくなり、最後は価格での競争になります。そこで、「自社が持っているデータを活用しよう」ということになったのです。

今回の特集では、ブリヂストンが、データをどう自社の事業に活用していくのか、その結果、顧客はどうなるのか?ブリヂストン側のメリットは?について、事例からひもといていきます。

ブリヂストンはデータをどう活かすのか?

これまでのブリヂストンの核になってきた事業は、タイヤを製造し、販売することでした。車のタイヤに関しては、直接販売することはそれほどなく、主にディーラーや、オートバックスのような自動車関連販売店、タイヤショップや、ガソリンスタンドなどを通しての、消費者向けの販売です。

メーカーのブリヂストンとしては、どの販売店に、何を何個卸したのか、は把握できますが、実際にタイヤを使うユーザー関しては、「どんな人がいつどのような商品を買ってくれたのか」がわかりません。一方で、自動車以外ですが、飛行機のタイヤに関しては、航行時のデータを航空会社が綿密にチェックしています。

日経新聞の記事によると、5月からJALと組み、タイヤの交換事業を始めたとのこと。「航空会社が持つ離着陸時の気象や路面の状況といったデータ、整備士が確認しているタイヤの摩耗状況のデータをもとに、ブリヂストンがすり減り具合を予測し計画的に交換する」(日経新聞より)ということです。

具体的には、走った走行データや距離などから、タイヤの溝がどれくらい減ったのか、ひずみは出ていないか、などを推測して、交換時期をおすすめする、というような具合です。

データは顧客とブリヂストンにとってどんな価値があるのか?

この予測によって、すり減り具合による交換タイミングが、はやめにわかるようになるので、余分な在庫を持つ必要もなくなり、さらに人件費も削減できるようになったとのことです。航空会社は、タイヤのデータを活かすことで、第一に、より安全な運行が可能になるのです。

次に、余分な在庫を持たずにすむ、ということは、その分の倉庫代、運搬費、それに関わる人件費も、削減することができます。売り上げアップ、につなげるというよりも、コストダウンにつなげていくことができるのです。

ではブリヂストン側には、どんな価値があるのでしょうか?まずは、顧客がコスト削減できた差分を、サービス料として請求することができます。さらに、タイヤという「モノ」に、データという付加価値をつけることができます。

このデータは単なる数字の集まりではなく、そのデータから読み取った「気づき」、たとえば、最適な交換タイミング、とか、在庫数の最適な数量といった、データから得られる「知見」がたまります。これが最大の差別化ポイントです。さらに、この知見は「他社には真似できない」のです。希少性が高く、模倣が困難なのです。

こうなると発注する側も、「同じタイヤならA社よりもブリヂストンだな」、となるのです。まさに、「タイヤとデータ」の新結合による、ブルーオーシャンの登場ですよね。

print
いま読まれてます

  • ブリヂストン「賢いタイヤ」の未来感がすごい!データで世界を革命する方法
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け