無駄な会議からの解放宣言。コロナ時代の「密より疎」な生き方とは?

 

効率云々以上にテレワークで明らかになったことがある。それは、無駄が見えたことだ。無駄な会議、無駄な出張、無駄な業務。そして、発言をしない無駄な人達。社員が会社に集まっている時には、「仕事をしているフリ」が通用した。会議でも、調子を合わせたり、雰囲気を出すだけで、やり過ごすことができた。

しかし、全員が同じ大きさの画像になり、発言しないと存在感がない環境になった。普段は頼りないと思われていた新人が良い意見を出し、ベテランは意見を持っていない等のケースが数多く出てきた。

3.オフィスと居住地の分散

テレワークで仕事ができるのならば、在宅勤務も可能だ。本社のスペースも縮小できるし、地価の高い都心である必要もない。あるいは、部署ごとに事務所を分散した方が合理的なのかもしれない。テレワークの普及は、オフィスの分散を招くだろう。

更に、中国と米国のデカップリングの影響で、グローバルサプライチェーンの見直しと再構築が行われるだろう。その影響は日本にも波及し、中国生産依存の見直しが行われるだろう。一部は日本生産に回帰し、グローバルなスケールメリット追求から、ローカルな無駄の排除やトータル流通コストの削減が図られるに違いない。

大都市に拠点を置くのはコストが掛かる。地方都市に拠点を置き、地元の行政や大学等との連携を図り、小規模でも自立したビジネスが志向されるのではないか。そうなると、地方間競争、地域間競争が起きてくる。地方文化や地方気質がビジネスに直結する。ここから、新たな地場産業が生まれるかもしれない。

4.地域密着型の健康ライフスタイル

工場が分散し、オフィスが分散することで、人々の居住地域も分散する。人口は大都市から地方へと逆流を始めるのではないか。人口密度が平準化すると、一人当たりの居住面積、一軒あたりの土地面積が広く確保できるようになる。

通勤時間がなくなり、テレワークが一般化し、副業が認められるようになると、一人の人間が複数の仕事を持つようになるだろう。例えば、高齢化に悩む農家の手伝いを一日2時間行う。それで農業を勉強しながら、自分の庭でも野菜を植える。そうなると、現金がなくても一部の食料品を調達できるようになる。

過疎や空き家で悩む地方であれば、家賃や生活費も安い。そうなると、都心で暮らすようにガツガツと仕事をしたり、仕事に追われることも減るのではないか。そして空いた時間を地域貢献やボランティアに使う。この流れが全国的に広がれば、GDPは下がっても、充実した生活が可能になるだろう。

適度に身体を動かし、土を触ることは心身の健康にも良い。都会の密を避け、あえて疎を選ぶ。そのことが健康的なライフスタイルにつながると思う。

image by: Shutterstock.com

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