調査で判明。国会議員の「異常なFAX好き」が日本のIT化を阻んでいた

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新型コロナウイルスの感染予防のため民間各社ではテレワークの導入が加速しましたが、永田町周辺の動きは鈍いようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、ある調査で判明した、国会議員、政府、幹部職員の中に「好ましからざる昭和」が根強く残っている事実を紹介するとともに、彼らから公務員が無駄働きを強要されている状況を、「国民の損失」と強く批判しています。

国会議員とのやり取りはコロナ禍でも対面かFAXという実態

こんにちは!廣田信子です。

コロナ禍の中で、政府の方針変更に振り回されながら迅速な対応を求められる各省庁の職員の方々は、残業残業で、働き方改革どころじゃないだろうな。国会や委員会、各部会等の会議の後ろに、ずらっと役人の方々が座っている映像を見ると、委員は離れて座っていても、役人の方は密の状態で働かされてるじゃないか。リモートワークは進んでいるのだろうか…と、いろいろ気になっていました。

そんな中、ワーク・ライフバランス提唱の先駆者である小室淑恵さんの(株)ワーク・ライフバランスが、「コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査」の結果を発表しました。国家公務員の方、480人が回答したもので、下記に詳細があります。

コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査

その実態には、唖然としました。まず、ここから変わらないと日本は変われない…と。

このコロナ禍でも、なんと議員の8割が対面で説明に来るように国家公務員に要求し、説明の際は失礼だからマスクを外せと指示される。議員とのやりとりの86.1%はFAX。メールは認められないのです。

調査結果のトピックスは下記のようになっています。

  1. 約4割の178人が、残業単月100時間を超過。200時間、300時間越えも
  2. 議員とのやり取りで、官僚の働き方に配慮を感じるかという問いに9割が「そう思わない」と回答
  3. 「議員への説明はオンラインに移行せず対面のままだった」との回答が8割
  4. 議員とのやり取りは、いまだ86.1%がFAX
  5. 大臣とのレクにおける電話やオンライン化・ペーパーレス化は省庁による差が大きく、1位:環境省、2位:経済産業省で、3位以下を大きく引き離す。環境省はテレワークの浸透も1位
  6. 各省庁のインフラが脆弱で1つの回線を3人で分け合うなど、仕事にならない環境。ハード面の整備の遅れ以上に、議員の「相手の働き方への配慮」不足や、各省庁の「仕事の進め方の慣習」が大きな障害となってデジタル化が進んでいない
  7. テレワークの浸透に課題はあるものの、家族との時間が増えた喜びの声も寄せられている

オンライン化は環境省が断トツで進んでいています。今回の調査で「大臣レク(大臣への説明のこと)が対面のままだったのか、オンラインに変化したのか」を聞いた結果、環境省の職員のなんと96.9%がオンライン化したと回答。テレワークができたかどうかの質問に対して、なんと100%が「できた」と回答。霞が関の中で環境省の働き方改革が飛び抜けて進んだことが分かりました。

その理由は、今年1月に小泉大臣が育休を取得したことが大きかった…と。省のトップが育休中なのですから、幹部も含めてWEB会議に対応することを余儀なくされ、嫌がっていた幹部も次第に慣れて、今では当たり前になった…と。それが、そのままコロナ禍で活きたのです。また、国会に対する環境省からの連絡は、これまでFAXでしたが、メールで受け取ってもらえるように、小泉大臣が交渉して変えることができたのです。

IT技術が決して低くない日本で、コロナ対策の対応がなぜこれほどまでにもたつくのか、近隣アジア諸国に比べてデジタル戦略に後れを取っているのか、その理由は、国会、政府・行政がこんなアナログで昭和な働き方しているから…とよくわかりました。一般企業では、だいぶ消えつつある「昭和」が、国会議員、政府、幹部職員の中にはまだ根強く残っているのです。

トップが若返り、新たな試みを始め、指示を出すことで新たな時代の働き方に変えていくことができる…環境省の大きな変化はそれを証明しています。

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