地質学者が懸念する「令和関東大震災」と日本沈没の可能性。首都直下地震は近いのか?

2020.08.27
by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

過去にもあった、日本海が拡大した後の「日本沈没」

「日本沈没」説の発表から5年。状況はどのように変化したのか。そして研究はどこまで進み、どこまで解明されたのであろうか?

新妻氏の研究によると、日本沈没は1400万年前の日本海拡大後にも起こっているという。下の図03を見ると、1300万年前の日本が沈没している様子がわかる。この時の日本沈没は、同心円状屈曲スラブが海溝よりも海洋側から下部マントルに崩落したもので、日本海を拡大した後に日本列島を沈没させたとしている。

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図03・過去の「日本沈没」を示した、日本海拡大と同心円状屈曲スラブの下部マントルへの崩落と切断。(出典:新妻信明『屈曲スラブ沈み込みと日本海拡大.地質学会第121年学術大会講演要旨,R15-O18,136.』)

今後も、1300万年前と同じような「日本沈没」は起こりうるのだろうか。新妻氏のホームページで発表された最新の研究によると現在、伊豆・小笠原・マリアナ海溝域の沈込スラブ地震が活発化しているという。

そんな中、今年7月30日には伊豆海溝軸でM6.0の地震が発生した。新妻氏は、上記のホームページ上で「この海溝域の太平洋プレート沈込は、関東地方や東北日本、そして西南日本の地震活動に直結しているので、今後の地震活動を注意深く見守る必要がある」としている。

今後「沈没」の可能性がある地域は? 新妻氏の最新研究

では、直近で「沈没」の危険性があるところは、どこの地域なのか? 新妻氏が作成した下記の図04は、太平洋の伊豆・小笠原・マリアナ海溝域スラブの沈み込んだ様子を、世界で初めてマントル相転移と関係付けて可視化したものである。

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図04・深度410km・550km・660kmのマントル相転移面支配下の伊豆・小笠原・マリアナ海溝域スラブの沈込様式(出典:新妻地質学研究所HP

上記の図04で、伊豆・小笠原海溝域の沈み込みを見ると、小笠原側の垂直スラブは下部マントルの深さにまで垂直に突き抜けて沈み込んでいる。

また、マリアナ海溝域の「横臥(おうが)スラブ」は、「Cの字」型の大きな弧を描いて沈み込んでいることがわかる。これはまるで、図03の日本海拡大後に「日本沈没」を起こした横臥スラブの形状と瓜二つではないか。

しかし、図04の「緑」と「黄緑」で色付けされた八丈島近くの2つのスラブ「Wing β」と「Wing γ」は、下部マントルがあるとされる660kmには達しておらず、途中で折れ曲がって横に翼のような形状に上へ反り上がっていることがわかる。つまり、この二つの海域のスラブの下部マントルへの沈み込みは起きていないということになる。

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