武器は手間ひま。135年の老舗が売る「国産ごま」が売れまくる訳

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効率化や時短こそ美徳とされがちな現代にあって、その逆の「手間ひま」の価値が顧客から高く評価されているメーカーが大阪にあります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』でMBAホルダーの青山烈士さんが紹介しているのは、国産ごま取り扱いシェア日本一の「和田萬」。創業130年を超える老舗企業の戦略と戦術を、青山さんがプロの視線で丁寧に分析・解説しています。

手間ひまをかけることの価値

今号は、国産ごま取り扱いシェア日本一の企業を分析します。

株式会社和田萬(ごまを主とする食品の製造加工および販売)

ごまを楽しみたい方をターゲットに「歴史や想い、独自の焙煎技術」に支えられた「香りと風味が豊かで旨みたっぷり」「豊富な品揃え」等の強みで差別化しています。

ごまのことは和田萬に聞けば、なんでもわかるという存在であることが安心感を与え、ごまの重要性を丁寧に伝えることで、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

いま世の中では時短ニーズが高まっています。ものを作っている企業も効率化を追求して自動化などが進んでいます。そういった流れの中で、和田萬は手間ひまかけて自家焙煎をしたり、畑でごまを栽培したりしているわけです。

多くの企業が手間ひまをかけないのであれば手間ひまをかけることは差別化につながります。差別化とは、他社と異なる考え方や行動の結果ですからね。

手間ひまをかけることで美味しくなるという効果を見込むことができますが、手間ひまをかけるということはよりコストがかかるということも意味しますので、そのコストを回収できなければ、手間ひまをかけることに魅力を感じないでしょう。ですので、多くの企業が割に合わないと感じてしまうということです。

これは重要なポイントですが、多くの企業がやりたがらないことをやるというのは差別化を考える上で非常に有効です。

そして、和田萬の場合、手間ひまをかけていることをしっかりと伝え、顧客に手間ひまをかけることの価値を認識してもらうことに力を入れています。顧客は価値に対して対価を支払いますので、ここをおろそかにしてしまうと価格競争に巻き込まれてしまい、まさに割に合わなくなってしまうのです。手間ひまは、顧客からは見えにくいものだからこそ伝えることが大切、ということですね。

また、和田萬の手間ひまを厭わない姿勢は素晴らしいですがこの姿勢はごまと向き合い続けてきた歴史が支えていると感じます。歴史に支えられた強みは、強固であり、手間ひまをかけることが差別化につながるということを示した好事例だと思います。

今後、和田萬がどのような存在になっていくのか注目していきたいです。

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