年金暮らし高齢者からマンションを奪う「ホワイト地上げ屋」の巧妙な手口

 

「やむを得ず修繕積立金を10倍に」新たな手口

「普通決議が可能な住戸を確保すれば、もうそのマンションは自分たちの思い通りにできる。老朽化したマンションを再生する…ということで、いきなり、修繕積立金を10倍にする提案をする。出席議決権の過半数で承認されるのだから、提案は難なく通る。それが決議され実行されると、年金暮らしの人は、すぐに払えなくて滞納が始まる。で、強めに滞納督促をし、法的措置をとる、競売に掛けることもできる…と言って売却を促すんですよ。

修繕積立金が10倍になったマンションは誰も買わないから、結果、買い叩ける。これだと、建替えや敷地売却なんて面倒な合意形成はいらないし、管理不全マンションにしないためには、修繕積立金の大幅アップやむなし…というもっともらしい理由もある。そもそも、総会で承認さえすれば、値上げに理由もいらないのだから…」

ちょっと、びっくりしている私に、知人はいいます。

「別に、何も悪いことはしていない。市場価格よりずっと高く買い取るって言っているんだよ。その時点で、みんなが気持ちよく売ってくれればWin-Win。買収に時間がかかれば、その分コストもかかるから、買値が安くなるのはしょうがない。いつのタイミングが自分にとって得か考えるのは自己責任。そうやって、管理不全直前で、自分たちではどうすることもできないマンションが、結果的に再生していくんだから、社会的に必要な仕事だと思うよ」

…と。これが、「ホワイト地上げ屋」の手法だといいます。

あまり表には出ないけど、管理不全マンションを解消していくには、こいいう手法もいろいろな場面で使われているのでしょう。このまま住み続けたいというだけで、将来に向けた展望をもって、やるべきことをやっていないと、外部の力でリセットもあるのです。事業になると思われ、地上げ屋が来るだけましじゃない…という声も聞こえそうですが…。

ちなみに、「ホワイト地上げ屋」というのは、この話を聞いて、私の頭にひらめいた造語です。ホワイトと言っていいかどうかは微妙ですが…。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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