【書評】スマホを捨てよ、本を読め。このままでは日本は衰退する

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スマートフォンが普及し、電車の中ではほとんどの人が、本ではなくスマホを見るようになった現在の日本。そんな現状を憂い、今後の日本を心配する声が一部であがっています。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんは、数学者の藤原正彦氏が、スマホや小学生の英語必修化に対して鋭く切り込んだ一冊を紹介しています。

偏屈BOOK案内:藤原正彦『本屋を守れ 読書とは国力』

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本屋を守れ 読書とは国力

藤原正彦 著/PHP研究所

電車内で人々が文庫や雑誌、新聞を開くという場面は、もはや失われたようだ。藤原さんが夕方の東京で電車に乗ったら、なんと一車両にいる全員がスマホを見ていたという。隣の40代と思しき男はスマホのゲームに熱中していた。いまやスマホは日本だけでなく、世界中で人間の知能を退化させている。

日本ではじつに中学生3人のうち1人が、高校生2.5人のうち1人が、1秒たりとも新聞に目を通さない。小学生は比較的、新聞も本も読む。中学から高校になるにつれて加速度的に活字から遠ざかり、大学生ではもうおてあげ。こんな状況で唯一、活字を読んでいる層の小学生に向けて政府が「英語必修化」を施す。小学生の算数や読書の時間を奪う、という点で犯罪的だと藤原さんは憤る。

もうじきスマホに実用可能な自動翻訳機能が完備される。そのとき機械が話す英語の水準は、現在の日本人の9割の英語レベルを超えているだろう。現在の小学生に一所懸命、英語を教えても、大学を出るころには不要になる可能性が高い。「小学生に英語を教えるのは無意味どころか、読書や算数の時間を奪う、という点で犯罪的です。官民の英語狂騒が祖国の崩壊につながるのです」

初等教育の目的はただ一つ、「自ら本に手を伸ばす子供を育てること」しかない。ところが、国語をないがしろにする小学校での英語必修化という愚策に対し、なんと国民の7割が賛成だという。祖国・日本を蝕む真の敵は国民である、といわざるをえません。いまや政財界も挙げて「グローバル化に対応して小学校から英語を学ばなければ、国際競争の生き残れない」の大合唱。

何という不明、不見識でしょうか。文部科学省はさすがに英語よりも国語がはるかに重大であることを知っています。ところが経団連をはじめとする財界、その影響下にある経済産業省などが国語教育を守る声を圧殺しているのです。

で、新内閣の文部科学 教育担当は誰?萩生田光一か。趣味は犬の散歩という人。座右の銘は「One for All, All for One」、ラグビーでおなじみの。

ネットで知ったが「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という訳は間違いで、「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」だという。一つの目的とはトライである。前々からラグビーの人たちは、幼いといっちゃあ言い過ぎだが、よく考えるとアホなこと言ってるなあと思っていた。

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