台湾の危機は日本の危機。「日台交流基本法」制定で中国に対抗せよ

 

最近、中国公船の尖閣領海侵犯がかつてないほど繰り返されており、今年の7月には領海侵犯の過去最長時間を記録、さらに昨年11月には海上保安庁の航空機が中国海軍の艦船から、尖閣付近の上空で「中国の領空を侵犯している」という警告を受け退去を求められていたことが発覚しています。
中国 尖閣で「領空侵犯」主張 – Yahoo!ニュース

また、台湾も、中国軍機による防空識別圏への侵入や近海における中国軍の軍事的挑発が続いており、事態は緊迫の度合いが高まっています。
台湾、中国軍事圧力に反発 中国軍、防空圏に侵入増(写真=ロイター):日本経済新聞

アメリカは大統領選挙が佳境を迎えていますが、トランプ大統領が新型コロナにかかり、マスコミの反トランプ攻勢も激化して、行方が見えづらくなっています。バイデンが大統領になれば、中国を勢いづかせることになりかねず、台湾にとっても日本にとっても、由々しき問題となります。そのような危機感も、「台湾交流基本法」の制定を急ぐ理由のひとつです。

しかし、日本の政界には、菅政権の後ろ盾となっている二階俊博氏のような親中派も少なくありません。私の近著『親中派の崩壊』でも、アメリカの政府系シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が二階氏ら日本政界の親中派を名指しで警戒していることを紹介しました。

その一方で、日本の世論は中国への不信感がますます強まっています。アメリカのピューリサーチが世界14カ国でアンケート調査を行った結果、「中国に好感が持てない」と答えた割合が最も多かったのが日本で、実に86%の人が中国を嫌っている実態が明らかになっています。

この世論を味方に、日本国内に「日台交流基本法」のことをもっと広め、実現へと向かってもらいたいと思っています。昨年の日台交流サミットで台湾のWHO参加が謳われたにもかかわらず、それがかなわないうちに中国からの新型コロナ拡散が始まってしまいました。そして、WHOが台湾を排除し、台湾の警告を無視したことが、新型コロナの世界的流行を許してしまった一因ともなりました。

今年の日台交流サミットで「日台交流基本法」の早期制定が謳われたにもかかわらず、それがかなわないうちに中国が…ということにならないよう、この法律のことを多くの日本人に知ってもらい、政治を動かしてほしいと思います。

また、今年の日本の国会においては、「台湾に対する武力行使を放棄しない」という中国の恫喝への非難決議もぜひ採択していただけるよう、良識ある政治家の方には熟慮をお願いしたいと思います。議会決議は、世界各国に対しての影響力がかなり大きいものです。台湾との外交承認がすぐには難しいというのも事実で、むしろこちらの決議のほうが現実的かもしれません。

いま現在、毎日、台湾海峡を通過する日本の船舶は約300隻といわれます。もしも中国が台湾に武力行使をすれば、それは日本のシーレーンが脅かされることになります。そしてその脅威は日増しに高くなってきています。日本と台湾は一蓮托生であり、台湾は日本の生命線でもあることを、多くの日本人に再確認していただきたいと思います。

image by: Shutterstock.com

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