中国の情報操作・浸透工作はここまで来た。各国マスコミ買収の実態とは

 

「選択」と「集中」のリスク

国民が幸せだと思っている国は良い国だ。それは間違いない。

国民が幸せだと思う条件は、一定レベル以上の文化的な生活が保障されることだろう。社会保障でもいいし、所得の分配でもいい。それさえ保障してくれれば、一部の支配者が富を独占したとしても誰も文句は言わない。

問題は、新技術の発明や進化によって、グロスーバルサプライチェーン全体が変更を余

儀なくされる時である。選択と集中によるグローバルサプライチェーンは、最適な経済合理性を追求したがゆえに、他の分野に転換することが困難だ。

ビジネス全体が機能しなくなると、支配者階級は莫大な富を失う。また、被支配者である一般国民も、企業倒産や大量失業が発生し、生活の維持が困難になる。こうなると、幸せだと思うことはできず、不満が溜まることになる。

もし、グローバリゼーションではなく、サプライチェーンが地域ごとに自立していれば、富も分散し、リスクも分散する。最も経済合理性の高いビジネスに集中するのではなく、生活に必要なビジネスに分散し、利益配分もそれに見合うように設定する。限りないコストダウンを追求するのではなく、生産者の生活を考慮した利益配分を行うのである。

アンチグローバルとは、単なる保守主義ではなく、リスク回避策でもあるのだ。

中国生産への集中と浸透工作

現在は、グローバリズムが行き詰まっている。その背景には産業の転換やデジタル技術の進化がある。

そもそもインターネットの思想は分散処理によるリスク回避である。独占的な企業が市場を支配するツールとしては向いていない。独占したければ、情報システムも中央集権的に設計しなければならないだろう。

インターネットは、集中ではなく、分散の方向に機能する。大企業しかできないビジネスを中小企業ができるようになり、最終的には個人のビジネスを可能にする。

もちろん、インターネットをグローバリズムのツールとして使うことも可能だ。資金さえあれば、いつでもどこでも世界中の企業から部品や商品が調達可能になり、世界中に販売できる。

このグローバリズムを最も有効に活用したのが中国だった。

世界の先進国に、低い生産コストと豊富な労働力を訴求し、生産機能を中国に集中することが最大効率を得るグローバルビジネスには適していると説いた。そして、中国は輸出が盛んになり、外貨を獲得し、富を蓄積した。安価な中国製品を輸入した国は、商品市場の価格水準が下がり、市場が収縮し、デフレスパイラルに陥った。多くの企業が倒産し、大量の失業者が発生した。業績の悪化した企業価値が下がり、買収が容易になった。中国は輸出で稼いだ外貨で、先進国の企業を次々と買収した。

更に豊富な資金を使って、海外への浸透工作や情報操作を行い、世界への影響力を高めた。

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