EVシフトで各社が勝てる要因は何か?
JETROによると、VWは2030年までに70モデルのEVを市場投入し、うち、約20モデルは既に投入済み。
ハイブリッド車は同年までに60モデルを投入、といいますから、ハードとソフトウエアの双方における、巨額の投資になります。
これらにともなって、VWグループ車種が統一的に使える、ソフトウエアシステムの開発を進める、「Car.Sofware」という組織への投資もして、ソフトウエアを強化していくとのこと。
一方で、デジタル化についてディース氏は、「テスラは2週間ごとにクルマをアップデートするなど、顧客に新しい体験を提供している。VWはそれができていない」と認めているそうです。
この点に関し、トヨタ自動車の豊田章男社長も、テスラを認める一方で、「リアルな世界では、電動化フルラインアップをそろえる我々の方が、選ばれるのではないか」と発言したそうです。
やはり、形のないソフトウエアは人が作るので、ノウハウや経験の積み上げが、差別化の最大のポイントになるのです。
これからは、車が単なるハードウエアではなく、ソフトウエアと一体化してきます。
アップルのように、ハードとソフトの両方を開発できると、先ほどの事例のように、
ユーザーメリットも大きくなり、差別化要因にもなります。
これからの自動車業界は、その意味でも大きく変わるでしょう。各社が市場で勝てる要因は、ソフトウエア開発による、顧客データの収集量と、その活用になります。
フォルクスワーゲンの事例から学び気づけることは何か?
このVWの事例から学べることは、ずばり「顧客データの収集と活用」です。
なにも、GAFAのように、膨大な顧客データを集めて、大勢のデータサイエンティストを雇用し、詳細な分析をするべきだ、といっているわけではありません。
今一度、顧客を見つめ直して、変わりゆく市場の中で、同じように変わっていく顧客価値を見つめ直す、という、商売の原理原則に立ち返ること。
そして、それは顧客のデータから、分析をすることができる、ということです。
新規事業においても、中堅・中小企業においても、過去の顧客データをもう一度見直し、そこから、仮説を立てて、検証していきながら、自社のサービスをより良くしていく、ということです。
ITによって便利になるに従って、顧客の欲求も増えていきます。そこに、柔軟に対応できるようにするために、顧客データの収集と活用は、必須です。ぜひ、手持ちのデータ活用から始めてみてください。
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