国民をバカにするだけの「うっかり道交法違反に注意」記事の無意味

 

交通法規以外ですと、例えば酒税法があります。国税というのは、第二第三ビールに課税してイタチごっこを演じているように、酒税をガメつく課税するのが、先輩官僚から申し送られた鉄の掟だと信じているようです。

その酒税法からすると、「アルコール度20%以上の(ですから原則は蒸留酒)酒税を払っている酒」でないと、梅酒を造ってはいけないのだそうです。ですから、日本酒やみりんで梅酒を造るのは違法というわけです。

例えば、サングリアなどを造る場合に、酒と果実を混ぜるのは「呑む直前でなくてはダメ」ということになっています。仮にワインにオレンジを入れて一晩寝かしたらもう違法なのだそうです。

奇怪千万とはこのことです。要するに法律が守れないようにできているのです。これもブラック校則と同じ話で、法律のための法律になっています。理由は分かります。仮にサングリアを許可したら、じゃあ別の場合はどうなのかと、細かく規則を決めなくてはならず、イタチごっこになってしまうからです。

どうしてそうなるのか?理由は簡単です。日本の法体系にはその上位概念としての「法律の基本となる社会常識、共通価値観」というものがないからです。例えば、自宅での営利目的でない、アルコール度数の低い梅酒の漬け込みとか、サングリアの一晩寝かせなどもそうですが、とにかく社会通念上特に不道徳でなく、また他人に迷惑をかけないことであれば、自然権として「人間は何をやっても自由」であり、これに加える形で「紛争を回避し調整するための道具」として規範があるという「ちゃんとした順番」がないのです。

ですから、国税は酒税法で「ダメ」と書いてあれば、ダメなのだからダメという杓子定規になるわけです。そこに、弁護士など違法行為の容疑が発生した方が儲かるという利害関係者や、人を批判したり、人に説教するとメンタル的に落ち着くという自粛警察などが入ってきて問題をややこしくしているわけです。

とにかく、この種の「ご存知ですかその法律」とか「うっかり違反をしないために」といった種類の説教をしている暇があったら、「分かりにくい法律」や「市民の常識に反する法律」を改善するための議論を始めたらいいのです。

つまり法律のための法律が市民生活を不便にしているのであれば、問題提起をして法律をアップデートする努力を行うのが主権者であり、それをしないで、「ご存知ですか?」とか「うっかり」などと説教しているのは、主権者としての権利行使を妨害していると言えます。

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