これと関連して気になるのは、制度が改正された際に、法案を審議している時の報道は「政治が好きで野党側から政府批判したり、そのカウンターをしたり」といった人にしか分からないし、興味が湧かないような報道がされるわけです。ところが、その法律が成立して施行する段になると、急に政府が広告代理店に大金を投げて「ご存知ですか制度改正」などといったキャンペーンをやるという習慣です。
これは下手くそな野党も共犯であり同罪と思うのですが、そんなことをやるのだったら審議中にやって、民意をしっかり有権者に決めさせて、同時に新しい制度についても周知して行くということをすれば問題は減ります。少なくとも、「知られていないと役所が混乱する」などという心配から、大金をかけて周知キャンペーンをやるより、ずっと効率が良いはずです。
そうしたカルチャーの原因としては、貴重な思春期の時期に「ブラック校則に反論できるのは一部のエリート校の生徒だけ」という極端に差別的な、まるで封建時代のようなカルチャーを徹底的にたたき込まれるからだと思います。このカルチャーのために、結局のところは無能な官僚が野放しとなり、使い勝手の悪い法律が放置されるわけです。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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