米国がコロナで動けぬうちに。中国が一線を越え台湾を奪いに来る日

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エスカレートする一方の、中国による台湾への軍事的威嚇。習近平国家主席は、ついに「台湾併合」に向け動き出したのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者の島田久仁彦さんが、習近平氏が歴史に名を刻むために足りないのは台湾であるとした上で、自らが掲げる「大中華帝国の大復興」のため台湾を取りにくる日はそう遠い未来ではないとの見方を示しています。

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習近平氏の夢へのLast Missing Piece―台湾を巡る国際情勢

世界の目が、いまだ猛威を振るう新型コロナウイルスとの戦いと、ミャンマーで起きたクーデターに向く中、台湾を巡る米中間の綱引きは日に日に熱気を帯びてきています。

習近平国家主席は、就任来、「大中華帝国の大復興」を掲げてきました。経済力は、習近平体制下で、アメリカと肩を並べるレベルにまで達し、軍事力でも、すでに海軍力ではアメリカに匹敵するか凌駕していると、アメリカ海軍が認めるほど、実力を蓄えてきました。

強力な経済力に支えられる一帯一路政策の下、中国の影響力は東南アジア諸国、中東諸国、そしてアフリカ諸国にまで広がりました。

また、別ルートを通って、現代のシルクロードは、中東欧諸国、そしてイタリアやギリシャをはじめとする南欧諸国に伸びています。

まさに中国“帝国”の西進です。

そして、2020年、世界を襲った新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、皮肉な話ですが、中国の躍進を後押しする効果を見せました。

いち早く“コロナを克服”した中国は、ここぞとばかりに、影響力拡大に動きます。

その一つは、マスク外交・医療戦略物資外交、そして今は、中国製のコロナワクチンを用いたワクチン外交です。

マスクや医療物資は、質が悪いと揶揄されましたが、それでもいち早く物資が届けられる様は、多くの途上国、そして中東欧諸国のハートを掴みました。そして今、ワクチンが同じ役割を果たしています。

東南アジア諸国、中東諸国、アフリカ諸国、そしてラテンアメリカ諸国の多くに中国製ワクチンは届けられ、「途上国にワクチンが普及するのは2023年」、「欧米製のワクチンのほとんどは富める国の富める層に独占される」といったジレンマを逆手に取った姿勢は、各国での中国脅威論を少し中和する役割も担っているようです。

その中国脅威論は、主に一帯一路政策の下、各国に高利で貸し付けられ、借金漬けにする姿勢と、南シナ海、そして東シナ海で展開される、強大な軍事力を背景にした領有権問題に起因します。

脅威は衰退しないものの、困ったときに迅速に手を差し伸べる姿は、被支援国、特に東南アジア諸国の対応と心境を複雑なものにしているようです。

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