3つ目は、招致時のスキャンダル追及の問題です。この点については、当時の竹田恒和前JOC会長や、電通関係者などに対してフランス当局が捜査を開始したという報道以降は、一体どうなっているのかチンプンカンプンとなっています。仮に、開催時にはスキャンダルで競技が白けるのを避け、問題は終了後か中止決定後に先送りとなっているのであれば、これは問題です。
仮に問題がないのにフランス当局が捜査を進めているのであれば、東京五輪のイメージダウンを回避するために闘うべきでしょう。ですが、仮に疑惑が本当であるのなら、日本サイドが率先して調査して問題を明らかにすべきです。正義が勝たねばならないだけではありません。こうした問題をウヤムヤにするようなら、日本は「そういう国だ」ということにされてイメージダウンは計り知れないからですし、五輪というイベントは「そういうものだ」というイメージが広まれば、今後の大会の存続が難しくなるからです。
いずれにしても、開催するのか中止なのか、そして開催するにしても中止するにしても、カネの問題はどう精算するのか、そして招致活動における疑惑をどう解明するのか、この3点は東京五輪に関して極めて重要な議題になっています。そのように重要な議題を「ホンネ」の部分に隠して、恐らくは密室で討議や交渉を重ねることで、判断をしようとしていた、森喜朗的なマネジメントにおいては、そこが問題なのだと思います。
そして、後任の人事においては、森喜朗的な「ホンネとタテマエ」の使い分けをするのではなく、真実を語り、国の利益と名誉を守る判断を可能にする、そのようなマネジメント力のある人物を選ぶべきと思います。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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