ショッピングモール側が客に会いに行く?三井不動産の始めた斬新な試み

 

日経クロストレンドによると、「移動商業店舗」プロジェクトという名称で、フードトラックのようにクルマと店が一体となった移動型店舗を列島各地で展開するという構想です。

昨年9月から12月まで、東京と千葉市の5カ所で順次行われた実証実験には、10業種11店舗が参加したとのことで、抹茶クレープや「牛すじ肉めし」などの飲食物だけでなく、雑貨、コスメ、アクセサリー、オーダースーツ、地方の特産品まで多彩なラインアップで、包丁研ぎや靴修理の専門店、整体サロンも軒を連ねたとのこと。記事にもあるように、まさに商店街が丸ごときてくれる、というイメージです。

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出店テナントの様子。三井不動産ニュースリリースより

飲食店や小売店は、リアルに店を出してそこにきてもらう、ということをしなければならなかったのが、移動販売だと、そこにいる人に知ってもらい、買ったりしてもらえることになります。

そして大事なことは、「美味しかったから、もう一回食べたい」と、あとでそのお客様が感じた時に、ららぽーとに行くか、またはネットのアンドモールにいくことで、買えることになります。

商売は、おなじみさんになってもらうことが大事ですが、買う側からすると、まずは試し買いや試食をしたいものです。

その意味でも、お店の方からきてくれる、というのはありそうでなかったやり方ですよね。

記事によると、移動販売の車両を貸し出すことも考えているそうで、「これまでは動かない床を貸していたが、これは動く床を貸す」ということを目指すそうです。

三井不動産の商業マネジメントのラインアップに、移動販売が加わったことで、お客様が商品を探すのも、買うのも、受け取るのも、リアルな場所(ららぽーとやアウトレット)でも、インターネット(アンドモール)でも、移動販売でもできるようになりました。

このように、いつ、どこででも買えるようにすることを「オムニチャネル」と呼びます。このオムニチャネル化により、お客様は格段に便利に、買い物ができるようになりますよね。

また、このようにお客様が購入できる接点を増やし、かつ、範囲を広げ、比重を変えていくことを、チャネルシフトと呼びますが、三井不動産は、この移動販売の追加で、よりお客様への利便性を高めることができました。

ホームページには、「地域に根ざし、お客さまとともに育んでいく、商業施設の新しいカタチ。「Growing Together」というコンセプトのもと、商業施設事業を推進しています。ただ物を売る場所ではなく、豊かな時を過ごせる場所を提供します」とあります。

確かに、三井不動産が手がける、東京の六本木にあるミッドタウンに行ってみると、おしゃれなお店や飲食店がたくさん並んでいるのですが、単なるショッピングモールというだけではなく、コンビニもあれば、郵便局もあり、さらに裏側には広い公園や、美術館もあって、まるで1つの街ですよね。

場所や土地を貸して収益を上げる、というだけではなく、賑やかで楽しい街を作るという、会社の理念をはっきり打ち出しているので、このようなアイディアが出るのでしょう。

将来的には、ホテルも移動させるとあります。これからも楽しみな三井不動産の取り組みです。

image by: おれはれお, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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