このインタビューが行われた3月4日といえば、すでに中国では武漢が都市閉鎖されて1か月以上も経過しています。新型コロナの情報をいちはやく発信し、自らも感染し33歳の若さで李文亮氏が死去するという衝撃的なニュースもすでに入ってきていました(※編集部註:李氏は中国で医療関係者として新型コロナについて内部告発した最初の数人のうちの1人)。
イタリアなどヨーロッパでの感染急拡大も始まっており、もう日本にも新型コロナの恐ろしさは十分に伝わっていたはずです。
にもかかわらず
「軽症者は病院にも行かず検査も受けず自分で治せ」
とは、あきれ果てます。
厚生労働省の新型コロナ対策も、忽那医師の発言とほぼリンクするものでした。というより忽那医師の発言は、政府、厚生労働省の意向を代弁したものでもあったと思われます。
当時、政府はまだ東京オリンピックをあきらめていませんでした。だから、新型コロナについて「なるべく大ごとには扱わない」という姿勢をとっていました。
中国をはじめとした諸外国からの入国も、制限していませんでした。
そして、日本では大規模な感染症についての医療体制が整っていないので、感染者たちが「病院に押し寄せてもらっては困る」ということで、
「重症化するまでは病院には行くな」
というようなめちゃくちゃなメッセージを発したのでしょう。
しかしこのメッセージを受け取った国民は、当然のごとく、新型コロナを
「まったく大したことがないもの」
と判断しました。
「ほとんどの人は軽症で済む」
「軽症者は病院に行かなくても治る」
と専門家がいうのであれば、普通の人は風邪以下の病気としかとらえません。
だから3月24日に、安倍首相が東京オリンピックの延期が発表されるまで日本人のほとんどは新型コロナに対して、あまり警戒感を持っていませんでした。
その結果、3月以降、新型コロナが激増しました。
志村けんさんなども、3月に入っても飲み歩いていたそうです。
日本の政府や感染症の専門家たちが、新型コロナの危険性を適切に発信していれば、もしかしたら志村さんは亡くならずに済んだかもしれません。
しかも、しかもです。
去年の今頃、新型コロナを風邪以下の病気だと発信していた厚労省や御用医師たちが、現在、国民に強力にワクチン接種を勧めているのです。
これまでの経緯をみたとき、あなたは安心してワクチンを接種することができますか?