丸紅お前もか。日本の大企業と民衆大虐殺ミャンマー国軍との蜜月関係

 

翌2月2日、笹川氏は「ミャンマーでクーデター」と題し、以下のごとくブログに綴った。

今朝の各報道機関は、表題を一斉に報じた。(略)丸山市郎日本大使の活躍もあり、ミャンマーでの日本は世界の中で突出した評価を受けており、各国政府や国際機関からも一目置かれた存在である。(略)アメリカをはじめ、各国が早急な経済制裁を実施しないことを願うばかりである。制裁が行われれば、ミャンマーの隣国・中国の影響力が増大するのみならず、日本の外交方針の一つであるインド・太平洋の安全保障の重要拠点を失うことにもなりかねず、日本のこれまでの努力は水泡に帰することになる。アメリカがミャンマーの経済制裁に走れば、同盟国の日本は苦しい立場に追い込まれる。ここは何としてもアメリカを説得する日本の外交努力が喫緊の課題となってきた。

経済制裁をすれば、ミャンマーへの中国の影響力が強まる。だから日本はもちろん、アメリカも制裁しないよう説得しなければならない、というのだ。多くのミャンマー人の願いを打ち砕くような言説だが、おそらくこれが日本政府にもしみついている認識なのだろう。

ミャンマー国軍を怒らせるようなことをしたくない。せっかく築いた関係が悪化し、中国につけこむスキを与えてしまう。そんな忖度をしてどうするのか。ミャンマーという国が民主化するための手伝いをすることが先決ではないか。そうなれば、中国との距離は自ずから遠ざかる。

そもそも、この選挙が不正でないことは、選挙監視団長たる笹川氏自身が確認し、いちばん知っているはず。「不正選挙だ」と主張する国軍に、自らの名誉をかけて抗議するのが、笹川氏の使命ではないのだろうか。

2月1日にクーデターが発生して以来、不服従を示す市民のデモ行動に対する国軍の弾圧はエスカレートするばかりだ。民政移管以前の暗黒時代に逆戻りしつつある。

もっとも、民政移管後も国軍が支配権を完全には譲らない政治・経済体制が維持され、それがスー・チー政権の実行力を鈍らせていたのも確かだ。

2008年に制定された憲法に基づき、連邦議会は全議席の1/4に相当する議員が国軍の指名によって選出された。経済面も、軍関連企業や、軍と癒着した政商が牛耳り、利権をほしいままにしてきた。

スー・チー氏が、少数民族の武装勢力と衝突を繰り返す国軍との折り合いをつけるのはさぞかし難事だっただろう。

国軍側からみると、国軍有利の現憲法を改正し民主化を進めようとするスー・チー氏はつねに要警戒の人物である。外国からの投資や援助を呼び込むための看板として利用してきたにすぎない。

だからこそ、NLDが圧勝し、衰えを知らない国民的人気を示したとき、国軍上層部は危機感を募らせ、クーデターを画策したのではないか。

ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は3月22日、日本メディアのインタビューに、こう答えた。「日本は軍とつながりがある全てのビジネス、金融の関係を今すぐに断ってほしい」。

トゥン国連大使は2月26日の国連総会で「軍事クーデターを直ちに終わらせ、民主主義を回復するため、国際社会のさらなる強力な行動を必要としている」と演説した。そのために軍事政権から大逆罪で訴追されたが、国連はクーデターによる政権交代を認めておらず、同氏はいまもニューヨークの大使公邸にとどまっている。

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