丸紅お前もか。日本の大企業と民衆大虐殺ミャンマー国軍との蜜月関係

 

ミャンマー国民の声に応え、米政府は国軍への制裁を次々と発表した。フライン国軍総司令官とその息子らが支配する企業6社を特別指定国民(SDN)に指定したほか、国軍系の企業であるミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッドと、ミャンマー・エコノミック・コーポレーションを制裁対象とした。両社は銀行、ホテル、製鉄など幅広い分野の企業を傘下に有している。

一方、日本政府は、経済制裁など強い措置を避けている。日本在住のミャンマー人数千人が霞が関で抗議集会を開き、国軍に圧力をかけるよう呼びかけたが、日本政府の態度は煮え切らないままだ。

ミャンマー国軍と日本企業の蜜月関係も見逃せない。クレジット会社のJCBは国軍系の銀行と提携しているし、丸紅は2018年から国軍の推し進める水力発電所建設事業に加担、ヤンゴン市内の都市開発事業にはフジタ、ホテルオークラなどが参加している。

4月2日の記者会見で、対ミャンマーのODAを全面的に停止する考えはないかと問われた茂木外務大臣は、こう答えた。

「日本は、これまで国軍に対して、暴力の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む拘束された関係者の解放、民主的政治体制の早期回復の3点を強く求めてきておりまして、事態の推移、そしてまた関係国の対応、こういったものも注視をしながら、どういった対応が効果的か、よく考えていきたいと思っております」

ミャンマー国軍への配慮がにじみ出たコメントだ。日本政府は、民政移管された2011年より前の軍政時代からずっと、ミャンマーへの経済援助を続けてきた。そして、主要国の中で唯一、ミャンマー国軍にパイプがあると自慢している。

ミャンマー、すなわちビルマの人々が日本に関心を持つきっかけは日露戦争における日本の勝利だ。小国日本が大国ロシアを打ち破るという、予想だにできなかった出来事に、欧米列強の植民地支配に苦しんでいたビルマなど東南アジアの人々は歓喜し、その後、独立運動の機運が高まった。

反英、独立運動に身を投じたスー・チー氏の父、アウン・サンら「ビルマ独立30人の志士」は、英国官憲の弾圧をかわしてビルマを脱出し、日本に庇護を求めた。当時の日本は、長引く日中戦争を決着させるため、英米の援助物資を蒋介石軍に運ぶビルマルートの遮断を画策し、ビルマ独立の動きを支援しようとしていた。

そのために、彼らの脱出を手助けし、逃げてきたビルマ青年たちを軍事的に鍛え上げる必要があった。その役割を担ったのが、鈴木敬司大佐のいわゆる「南機関」だ。海南島で鈴木大佐から徹底した軍事訓練を受けたビルマ青年たちは、日本軍がビルマに進攻したさい、独立義勇軍を組織して、日本軍とともに、民衆の歓呼の中でビルマに入った。

これがのちにアウン・サンがイギリスと交渉し、1948年に念願の独立を勝ち取る土台となるわけで、日本びいきの人がミャンマーに多いといわれる所以でもある。むろん、ミャンマー国軍の初代司令官がアウン・サン少将だ。

日本政府は、2019年10月8日から6日間、現在の総司令官、フライン氏を日本に招待した。10月9日に茂木外務大臣、翌日には河野防衛大臣が会談したが、実は安倍首相もフライン総司令官の表敬訪問を受けていることが同年10月9日の各紙「首相動静」で確認できる。

この訪日で、ミャンマー国軍のエリート軍人たちを日本の防衛大学校に留学させることが決まった。今もエリート軍人たちは日本にいるという。

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