シリア情勢よりも状況が悪化する懸念も
そのような中、ミャンマーにおける情勢の著しい悪化が、私にはシリア内戦の始まりの時期の状況とイメージが重なってきています。
残念ながら、シリア内戦時よりも今回のほうが情勢悪化のスピードが速く、短期間により多くの死者が出ていますが、もし、シリア内戦初期がそうであったように、このまま周辺国と地域における大国たちが、それぞれのメンツにばかり気を取られて、ミャンマー国民をないがしろにするような状況になれば、おそらく、シリア情勢よりも状況は悪化し、内戦状態がより長く続いてしまうことになってしまいかねないと、非常に懸念しています。
国際政治が影響力を失っている今、果たしてミャンマーで継続し、そして悪化していく悲劇を止めることができるのは誰なのか?
そのためには、ミン・フライン総司令官と国軍が目を覚まし、まず蛮行を即時停止し、話し合いの場を設けるというセッティングが必要だと考えますが、その重責を負う仲介者が名乗り出てくるのは、まだまだずいぶん先のような気がしてなりません。
私の国連紛争調停官時代のアシスタントはビルマ人でしたし、国連で働き始めた際にいろいろとお世話してくださった方もビルマ人でした。その後も多くの調停の場でお手伝いしてくれた専門家にも、ビルマ人が多く含まれていました。彼ら・彼女たちの“国”が今後どうなるのか。個人的にも非常に気になっており、同時に、何もできない状況に、非常にもどかしく悔しく思っています。
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