というわけで、事実上はこの第1のシナリオと、第2のシナリオの中間で行くことになるのだと思います。第3のシナリオということでは、ある意味でズブズブでグタグタなシナリオなのですが、これしかありません。
- 規模が大きすぎて100%の民主化は無理。だが、成熟した主要都市では政治の公開性を高めないと秩序は保てないので、情報統制の範囲は徐々に緩める方向。
- 米中、日中の経済的な国際分業は今後も継続。
- 軍事冒険主義は、どこかでコストがオーバーとなって、相互に軍縮を望む時点が来る。そこを早めに持ってくるかが焦点。それまでは、現状の国境線、航行の自由をどう死守してゆくかがポイント。
- 結局は日本と同じように、中進国である間は成長できるが、本物の先進国に入ろうとすると、自分の文化や文明を変えられないことで挫折するということになる可能性が大きい。
そう考えると、改めてバイデン政権の中国外交というのは、非常に重要な問題であることが分かります。「中国の覇権完成」でもなく、また「中国崩壊」でもない、その中間のあるゾーンを、お互いにバランスを取りながら進ませるということで、結局はキャンベル論文のようなアプローチが出てくるのは、一定の必然ということになります。
この後、4月中旬には菅総理が訪米して日米首脳会談も行われる予定です。米中を考え、その上での日米、日中の関係に注視して行かねばならないと思います。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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