日本にとって最悪のシナリオ。中国経済をどん底に叩き落とす「民主化」の罠

 

コロナの初動で隠蔽が行われたというのは良い例で、隠蔽した勢力が悪いのではありません。そうではなくて、一番上は「最善手」を望んでいても、よほど気をつけていないと、2番目以下は「耳の痛い情報をスムーズに通す」ことができないために、結局組織全体は遠回りをする、その繰り返しになります。そうしたシステムでは世界支配などできるわけがありません。

もう少し別の角度から考えると、例えば中国発のGAFAが世界を仕切って行くには、相当に高度な知的能力のある企画レベルのエンジニア、そしてプログラムの書けるエグゼクティブレベルの集団などが活性化していないと不可能です。ですが、その集団が、結局のところ為政者の批判は許されないとか、それもトップ自身は良くても、ナンバーツー以下は無能で、しかも無能なくせに絶対服従を要求してくるような環境では、思い切り能力を発揮できる環境にはならないと思われます。

そもそも、モノではなく、ソフトと信用が重要になってくる21世紀においては、結局、世界的に通用するビジネスは英語になるわけで、中国も勝って行くためには、事実上公用語は英語にシフトする必要があります。ですが、そうなると、やはり自由とか民主主義のカルチャーも流入してしまうわけで、寡頭政治の維持は難しくなるでしょう。

2番目は、反対にどこかで国家が崩壊して、ソフトランディングではなく、ハードランディングになるというシナリオです。こちらは可能性としてはあります。怖い話ですが、可能性としてはあるので、一つ一つの可能性を潰して行くということになります。

例えば、内政が行き詰まった場合に、国民の目を「逸らせる」ために、東シナ海、南シナ海、カシミール、沿海州などで非常にアグレッシブな行動を取ってくる、その可能性は数年というスパンでは低くても、5年とか10年のレンジでは十分にあると思わなくてはなりません。

一方で、国内における分裂の動きも、平和裏に行われれば「統治しやすいサイズの国家に分断」された方が、住民も為政者も楽かとも思いますが、平和的に「三国鼎立へ向かう」とか「各自治区が独自性を強化」というのは非常に難しいと思います。仮に分裂の動きが出れば内戦となる可能性があり、そうなれば東アジア全体の経済と社会が大きな影響を受けます。

例えばですが、宇宙開発とか軍拡、あるいは一帯一路などに「リータンのない消費」を続けた結果、旧ソ連のように連邦政府が自壊というのも、ちょっと難しいように思われます。ソ連と比べると、食糧自給率がまだあるので、そう簡単には国家破産にはならないからです。

例えばですが、急速な民主化に走って、準備不足のままに複数政党制や公選制を実施した場合には、右派ポピュリズムの政党が国を支配して、例えばプーチンのロシア、ペロニスタのアルゼンチン、エジプトの同胞団政権などのように、全く最善手ではない結果がでて、ほぼハードランディングになっていく可能性もあります。日本にとっては、もしかすると最悪シナリオかもしれません。

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