このままでは史上最低の大会に。五輪「プレーブック」のモラル欠如

shutterstock_1608483595 (1)
 

国民の大多数が開催に否定的な東京五輪。政府の感染症対策分科会の尾身茂会長も2日の衆院厚生労働委員会で「今の状況で普通は(開催は)ない」と語り、それでもやるなら規模縮小と管理強化が義務と述べました。その管理に関わるのが、関係者の行動規範を定めた「プレーブック」。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが、この「プレーブック」について報じた朝日新聞の記事を通覧。見えてきた「バブル方式」の無理と嘘、安心安全を標榜しながら選手に「自己責任」の念を押すモラル欠如を厳しく批判しています。

五輪の重要ワード「プレーブック」を新聞はどう報じてきたか?

きょうは《朝日》から。「バブル」とともに「プレーブック」という言葉がよく出てくるようになりました。五輪に関する重要な言葉で、参加する選手や関係者の行動ルールをまとめたものを指す言葉のようですが、この「プレーブック」を巡ってどんなことがあったのか、検索で探ってみたいと思います。

「プレーブック」で検索を掛けると、紙面掲載記事23件にヒットしました。これらを対象に。まずは《朝日》の3面記事の見出しから。

五輪行動ルール 本当に大丈夫?
コロナ検査 飲食後は精度低下
バブル方針 選手村外に宿泊も
ペナルティー 強制退去など想定
尾身氏、対策は「会場内だけでは意味ない」
パンデミック中の開催「普通ではない」
自民に不快感 野党は評価

以下、記事の概要。参加する選手や関係者の行動ルールをまとめた「プレーブック」の最終版が大会組織委によって今月中に発行される。これまでのプレーブックによれば、五輪・パラ期間中、計1万5千人の選手に対し、毎日、担当者の監督下で唾液を採取し、抗原定量検査が実施される。当初、PCR検査が検討されたが、医療従事者が必要になるため見送られた。問題は、歯磨きや飲食後30分以内は精度が落ちることで、「試合を前にして陽性反応を恐れ」、飲食や歯磨きをわざわざ行う選手が出てきてもおかしくないとの指摘がある。

「バブル方式」とは、会場や宿泊地を大きな泡で包むようにして外部と隔離することを指し、世界中のスポーツ大会で感染拡大防止のために採用されてきたという。プレーブックにも、選手らが公共交通機関を使ったり観光地や飲食店に出掛けたりするのを禁じているが、豪州選手団を受け入れた栃木県太田市の市長は「これでは気詰まりだ」として週1回程度の買い物ができるようにと、内閣官房に提案しているという。

「完全なバブルにはなり得ない」と言うのは大会関係者。そもそも国内メディアは自宅と競技会場を往復する。また、会場が9都道県に分かれ、選手村外のホテルに宿泊する有力国の選手たちもいる。海外メディアも独自にホテルを手配。組織委は「借り換えなどを促して集約し、目が届く態勢づくりを急いでいる」とするが実効性はあるのだろうか。

「プレーブック」の条件を守らせるため、意図的な検査拒否など悪質な違反者には資格証の取り上げや大会参加権の剥奪、強制退去なども想定するという。

print
いま読まれてます

  • このままでは史上最低の大会に。五輪「プレーブック」のモラル欠如
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け