このままでは史上最低の大会に。五輪「プレーブック」のモラル欠如

 

2021年5月27日付
タイトル「「東京五輪、コロナ感染対策不十分」 米専門家ら論文「科学的評価基づかぬ」」の記事中、以下の記述。
「今夏の東京五輪・パラリンピックで、新型コロナウイルスの感染対策が不十分だとする論文を米国の公衆衛生の専門家らがまとめ、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)などが定めた行動規範(プレーブック)は、「科学的なリスク評価に基づいていない」と、改善を求めた」と。

*上記論文は、日本のワクチン摂取率の低さ、「プレーブック」で宿舎など屋内での感染対策の詳細が明らかになっていないことの他、接触確認を選手が競技中に持ち歩かないスマホアプリで行うようになっている問題も指摘されている。

2021年5月29日付
「選手や関係者の行動を定めた「プレーブック」には「責任とリスク」という項目で以下の記述がある。「あらゆる配慮にもかかわらず、リスクや影響が完全に排除されるとは限らないため、大会へ自己責任で参加することに同意するものとします」」と。

●uttiiの眼

東京五輪は、いわば「巨大な感染実験場」の様相を呈すると思われる。プレーブックには抜け道がありそうで、結局は巨大な「人流」を追加することになりかねない。そもそも大会競技の実施は取材メディアの活発な活動を抜きに考えられず、「バブル」は妄想に近い。単一競技の世界大会で「バブル」が実施されたことはあるが、新型コロナ禍にあって、17日間にエキシビションを含めて33競技339種目を9つの都道県に分散した会場で行う大会が、コロナウイルスにとってどんな意味を持つか、明らかだろう。

こうしたことを理解しているからだろう、大会側は「ワクチン頼み」に変わっていく。「プレーブック」通りには行かないということがハッキリしてしまったからなのではないか。

主催者側は、安心だ、安全だといいながら、何か起きた時の“保険”を掛け始めていて、プレーブック第二版には、選手に対して「自己責任での参加」を強制。大会主催者としてのモラルを疑う事態に、批判が高まっているのは当然だろう。

【あとがき】

以上、いかがでしたでしょうか。五輪は強行される可能性が高まっていますね。日本政府にこの愚行を止める力が無いはずはないのですが、そうしようとはしない。国民と外国から参加する人たちを危険にさらす、史上最低のオリンピックとしてその歴史に名を残す…そんなことにならなければいいのですが。

image by:f11photo / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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