最近は、卵焼きは目玉焼きにせずにオムレツにすることが多い。卵をかき混ぜて卵液を作り、塩を適当に振って最後に牛乳をこれも適当に入れて、四角い小さなフライパンに油を敷いて過熱して卵液を入れるのだが、温度調整が結構難しい。フライパンに卵液を入れたら箸でぐちゃぐちゃにしてから、フライパンの幅と全く同じ幅のへらで、端から巻いて出来上がりだ。うまくいくと長方形の見事なオムレツができるが、失敗するとバラバラになったり焼きすぎになったりする。最近は少し賢くなって、味噌汁と卵焼きを同時に作れるようになった。最初に比べれば長足の進歩だな。
今はIHが主流になりつつあるが、少し前まではほとんどの家庭ではガスコンロを使っていた。年寄りが火を使うのは危険だという事を、身をもって教えてくれたのは、一刀斎の異名を持つ数学者でエッセイストでもあった森毅で、自宅で卵焼きを作っていた時にガスコンロの火が着物に燃え移って大やけどを負い、これがもとで亡くなった。それで私はガスコンロをIHに換えてしまった。(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋)
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