韓国の“中国ヨイショ”にG7首脳が激怒。あえて総スカンの大失態を犯した思惑

 

米国の軸足は欧州から「アジア」へ向いた

最初に問いを提起した内容に戻りますが、アメリカは国際協調のグループに帰ってきましたが、実はその心は、欧州各国が切望した内容とは違い、すでに欧州にはなく、バイデン政権の主な関心は中国が台頭し、自国と自由民主主義グループにとって絶対に防衛しなくてはならないアジア(インド太平洋)に向いています。

NATOの結束の再強化、NATO内で第2位の軍事的プレゼンスを誇るトルコとの対話の再開、NATOを通じた中東北アフリカ地域への影響力強化といったように、各大陸・地域へのコミットメントは保つように見せつつ、すでに「世界の警察官の役割から降りた」アメリカの“主戦場”は中国が脅威として存在するアジアへの本格的なコミットメントと言い換えることができると考えます。

そして、16日にジュネーブで開催した米ロ首脳会談の目的も、二大核戦力による核戦争の防止という高邁な目標はもちろん、アメリカにとっては(バイデン大統領にとっては)“憎き”プーチン大統領のロシアとの関係をできる限り対立構造から避け、中国との接近を避けたいとの思惑が働いています。

それは、プーチン大統領にとっても、中国にアメリカのライバルという立場のお株を奪われ、論者によっては「ロシアは中国の衛星国になり下がった」と言われる惨状から抜け出し、国際情勢において独自の影響力を取り戻して堅持するために、アメリカとの緊張関係の緩和を、中国に対するプレッシャーとして使いたいとの思惑も見え隠れしています。

G7、そしてその後行われた様々な外交的な会談は、面白いことに、拡大ASEAN国防大臣会合を除き、その場に存在しない中国が議論の中心となり、中国を外交ウィークの主役に祭り上げるという皮肉な結果につながったように思われます。

今後、激化すると思われるアメリカ陣営と中国陣営の戦いの行方は、果たしてどこに向かうのでしょうか?

そして、そのような中で日本はどのように振舞うのでしょうか?

中国共産党結党から100年の節目の年となるらしい2021年、どのような国際情勢になるのか、目が離せません。

皆さんはどう思われますか?

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image by: 青瓦台 公式HP

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