韓国の“中国ヨイショ”にG7首脳が激怒。あえて総スカンの大失態を犯した思惑

 

韓国が「大失態」を犯した本当の理由

英国・ジョンソン首相と、アメリカ・バイデン大統領が画策した“踏み絵”という真の狙いを理解せず、舞い上がった結果でしょう。

そしてもう一つ挙げるとすれば、G7にとっては残念なニュースですが、中国の対韓国影響力の“勝利”とも言えるでしょう。G7首脳会合前に、中国の王毅外相は韓国の外相に釘を刺していたそうで、すでにレッドチーム入りしているとみなされている韓国はその通りに動いたということなのでしょう。

これを見てわかるように、G7での台湾問題の明記と、対中強硬体制が合意され、以後、発動されることを見越して、G7首脳会合前から中国はG7の態度に対して猛烈な反発と抗議活動、そして威嚇を繰り返していました。

例えば、外交部による【対中包囲網などというアメリカの妄想には付き合えない】というコメントや、ASEAN各国および南シナ海に対する軍事的な圧力の強化、そして尖閣諸島周辺と東シナ海への圧力強化などを明確にして、日米および欧州の出方を見極めつつ、対中包囲網が一枚岩にならないように外交当局と軍部が一体となって工作活動を続けてきました。

同時に自らの経済的な影響力を活かし、日米欧各国とオーストラリアなどの出方を見つつ、それぞれへの経済・通商面での対抗策(制裁?)を急ぎ模索しており、戦略物資やレアメタル、食糧などの輸出入に対する圧力も匂わせていました。

その結果でしょうか。

G7プラスアルファ─からは中国脅威論に対する意見と対抗の必要性が持ち出されたものの、それぞれのコミットメントの色合いと温度に大きな差を生み出すことに成功したように思われます。

そして、見事に韓国というエージェントを操って、G7とその仲間たち(D10)の決意と結束を乱すことに成功したように思われます。

中国が台湾に使い分ける「アメ」と「ムチ」

では、今回のギャンブルともいえる台湾への対応はどうでしょうか?

一つはっきりしていることは、米中間の緊張は高まったということでしょう。

すでに台湾海峡周辺における軍事的なバランスについては、中国が米国とその仲間たちのプレゼンスを圧倒していますが、G7+の結果を見て、覚悟を決め、実力行使に出る構えを見せていると思われます。

台湾に対する中国共産党政府の対応は、まさに飴と鞭と言えるかもしれません。

まずアメの側面ですが、通常、中国への警戒心が強く中国は嫌いという態度を示すかと思われる台湾の皆さんですが、中国政府が仕掛けるコロナワクチンの大量供与によって、反中国の態度が懐柔されていると思われます。

『困った時こそ、頼れるのは同胞の力』と、中国産のワクチンの供給と、中国における台湾の皆さんへの接種実施を前面に打ち出すことで、中国に対抗する“独立派と目される”政府・政権と民衆を切り離す工作が行われています。

この切り離し策の効き目を最大化するために、中国人民解放軍は、5月まで執拗に続けていた台湾領空への戦闘機による侵犯や、軍事演習といった、直接的な軍事的な圧力を一気に減少させるという策も講じています。

しかし、北京政府(中国)は同時並行的に鞭もしっかりと用いて、硬軟両方の圧を台湾とその友人たちにかけている模様です。

その一例が、今月に入って顕著になっている【台湾領馬祖列島周辺での中国船団の停泊と浚渫船による海底土砂汲み上げ工事の強行】です。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 韓国の“中国ヨイショ”にG7首脳が激怒。あえて総スカンの大失態を犯した思惑
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け