韓国の“中国ヨイショ”にG7首脳が激怒。あえて総スカンの大失態を犯した思惑

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今回のG7サミットは「中国包囲網」が主題とも言えるほど、対中国の宣言内容が目立つものとなりました。そんな中、G7ではないにも関わらず、英国に「スペシャルゲスト」として呼ばれた立場で中国の“代弁者”としか思えない発言でG7首脳から総スカンをくらったのが日本の隣国、韓国です。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、今回のG7で中国への強行姿勢を明確にした日米と他国との温度差を分析しながら、韓国が大失態を犯した理由や台湾周辺の“きな臭い”動きについても分析しています。

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G7が選んだ反中国針路と国際社会

Is the United States of America really back? 

まずこの問いかけからスタートしたいと思います。

久々に対面でのリーダーの会合が実現したG7サミット。

議長国の英国とジョンソン首相は、【アメリカが国際協調に戻ってきたこと】と【G7がまだ国際政治と経済、そして安全保障のカギを握っていること】を世界にアピールするために苦心しました。

会合では一同こぞってアメリカの国際協調への復帰を歓迎し、それに応えるようにバイデン大統領も「アメリカが国際的な安定を主導する」決意を述べました。

「気候変動対策の軸となるパリ協定の遵守と脱炭素社会への移行を加速すること」、

「コロナウイルスのパンデミックにより傷ついた世界経済の回復のためにG7各国が財政支出の拡大とワクチンの途上国への供給拡大にコミットすること」、

そして「G7相互での貿易障壁の撤廃を行うこと」など、

G7本来の経済・財政政策への回帰をイメージづけたと言えます。

Build Back Betterと名付けられたその一連の取り組みとコミットメントは、G7および国際情勢に対して、前向きで、それぞれの取り組みを勇気づける内容だったと思います。

しかし、そのG7の議論と注目をハイジャックし、実際に主役に位置付けられたのは、覇権主義的な言動が目立ち、経済力のみならず、いまではゆるぎない軍事大国になった共産党支配による中国でした。

それも、G7各国が警戒感を募らせる中国共産党結党100周年を迎える2021年のG7サミットの主題になるという、皮肉なおまけ付きで。

G7各国は、2020年から顕著になってきた中国共産党政府による強権的な人権抑圧と勢力の拡大に対して警戒心を露わにし、中国を自由民主主義世界にとっての最大の脅威と位置付ける方向で合意しました。

中国にとっての潮目が変わったきっかけ(トリガー)は、香港情勢(一国二制度の有名無実化の強行、経済政治の中国化、国家安全維持法の施行など)、新疆ウイグル自治区情勢(100万人を超すウイグル族住民の強制収容と洗脳疑惑、物理的な拷問の実施など)、チベット自治区情勢(特に“宗教の中国化”)、そして台湾情勢の激化(台湾海峡における軍事的な圧力の増大と米軍への対峙姿勢の明確化、武力による併合も辞さないと明言、船団による海域の占拠など)が挙げられます。

中国による中国内での欧米そして日本企業への圧力、サイバースパイ疑惑など、これまでにも多くの中国“問題”は山積していましたが、各国とも、それに目をつぶって、中国市場が日欧米各国にもたらす経済的な恩恵と利益を追求してきました。

人権侵害の問題も明らかに問題視されてきましたが、2020年までは“見て見ぬふり”の姿勢を貫いていたように見えます。

しかし、アジアの金融センターであり、かつ英国と中国の間で交わされていた香港の一国二制度の約束が明らかに反故にされたことと、そのトリガーとなったのが、欧米各国が重要視する原理原則である“自由市民の人権”を蹂躙するという事件が相次ぎ、ついに見て見ぬ振りができなくなったのが、現状でしょう。

今回のG7首脳宣言では、中国による南シナ海・東南アジアエリア、そしてインド太平洋での傍若無人なふるまいへの恐怖心と警戒という点で意見が一致し、それに加えて台湾に対する中国のあからさまな領土的野心への警戒も、G7が始まった仏ランブイエ会合(1975年)以来初めて【G7が共同して台湾海峡の問題の平和的解決にコミットする】という形で【台湾】(G7各国が正式な外交関係を持たない)が明記されるということになりました。

これは先に開かれた日米首脳会談の宣言でも明記され、G7外務大臣会合でも明記されてきましたが、首脳レベルの宣言に【台湾へのコミットメント】を明記することは、先週号でもお話ししましたが、G7各国はもう戻ることが出来ない、中国のレッドラインを超えるギャンブルに出ました。

まさにG7のターニングポイントと言えるかもしれません。

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