令和の学徒出陣か。オリンピック「学校連携観戦」で危機に晒される子供たち

 

今一度保護者は確認を

私がこの「学校連携観戦」について周囲の教員やPTAの関係者に話を聞いて回ってわかったことは、報道されている問題なのだが、世に流れる話題はあまりに多いことから、未だに知らない保護者が多くいるということだ。

例えば、多くはPTAや保護者会などで、こうした話題が出るものだが、そうした会に出ない人もいるし、たまたま用事で欠席したということもあろう。

一方で、PTAや学校教員、教育委員会の職員に聞いていると、それなりの圧力があるように感じるということであった。折角格安で用意し、抽選でしか買えないオリンピックチケットを用意したのに、ここにきて「裏切る」のかという圧を感じるそうなのだ。

確かにコロナ禍でなければ、オリンピックパラリンピックの競技を目の前で観ることができるというのは、大きな学びにも繋がることだろう。コロナ禍以前は多くの大人がチケットの抽選に一喜一憂していた事実もある。

そうした経緯から「学校連携観戦」プログラムに力を尽くした政治力は確かにあるし、地域や学校によっては、リスク軽視で少しでも子ども達を参加させることで、オリンピック貴族に歓迎ムードを見せたい勢力もあるだろう。

学校によっては、部活全体は暗に強制参加とするところもあり、しっかりと確認をしておかないと、我が子が通う学校が観戦連携を実行するかもしれないのだ。

報道をみても、「学校連携観戦チケットの全てか一部をキャンセル」とあるように、一部キャンセルした場合、例えば、「サッカー部は行きます」などとなっているかもしれない。

一方で、政府の発表にも注意が必要だ。6月19日のNHKの報道によれば、政府は指針を示し、「緊急事態宣言地域の場合は参加を中止」「まん延防止地域の場合は自治体が統一指針を示す」「それ以外の地域の場合は、各教育委員会や学校で決める」というように検討している。

ただ、オリンピック開催中、感染者が爆発的に増えない限りは、これまでの緊急事態宣言のやり方を見る限り、出すことはまずないだろうと思える。そもそも検査数を減らせばその絶対数は減るわけで、病床確保などを含めた対応がオリンピック関係者に相当取られてしまうわけだから、ほぼ期待できないと考えていいだろう。

すでにキャンセルを決めた自治体や学校では、心配することはないと思うが、中止を決めた多くの自治体の担当者は「感染者数のリバウンドの懸念」の声をあげていることから、オリンピック・パラリンピック開催期間は、家で静かに過ごし、感染リスクを極限まで減らすのが良策だろう。

仮にワクチンを打ったとしても、感染しないわけではないのだ。

政府にも組織委員会にも、5者協議にも、そして自治体や学校にも、何よりも大切なのは、「命」なのだということを徹底して実行してもらいたいものだ。

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