年間700億の売上減。それでも菅首相が携帯各社に「倍の負担減」を迫る事情

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先日掲載の「狙われた楽天モバイル。ソフトバンクがLINEMOで仕掛ける容赦ない攻撃」でもお伝えしたとおり、ソフトバンクがLINEMOブランドで投入した、3GB990円の「ミニプラン」が大きな評判を呼んでいます。このプランに対して、他社はどのように対抗するのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、KDDI社長の決算会見での発言を紹介。さらに同社の携帯料金値下げの影響による減収額を明らかにするとともに、何がキャリア各社の収益回復に大きな影響を与えるのかについても言及しています。

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KDDIは当面、ソフトバンクLINEMO「3GB990円」対抗策は打ち出さず

菅義偉首相が雑誌のインタビューで携帯電話料金の値下げ政策について「倍の負担減が可能。あくまで道半ば」とコメントしたことが話題となっている。

この発言に対して、定例記者会見で質問された武田良太総務大臣は「公正な競争環境、さまざまなメニューをわかりやすくするなど、様々な手を打ってきた。過去に比べれば競争は活発になっている。乗り換えも進んでおり、新料金プランの加入者数は5月末時点で1,570万となっており、軽減額を試算したところ、年間ベースで4,300億円規模となった。一方、乗り換えを検討中の方も一定程度いる。乗り換えが進めば、負担軽減はさらに拡大するのではないか。国民が携帯電話料金の低廉化の恩恵を実感できるよう、乗り換えを円滑にするための公正な競争環境の整備に取り組みたい」とした。

一方、キャリアはどう受け止めるのか。7月30日に決算会見を行ったKDDI・高橋誠社長は「雑誌は見ていないが、料金値下げによって、顧客に還元されていることは、競争の結果といえる。スイッチングコストを下げることで、お客様が移りやすくなり、その結果、4社が安い料金を出していく。当然これからも続いていく」とした。

ちなみに、ソフトバンクがLINEMOブランドで投入した3GB990円のプランに対しては「すぐに手を打とうとは思っていない。新料金プランにはお客様の声や市場動向を見ながらしっかり対応していく。現在、UQモバイルのでんきセット割で990円プランを提供し始めており、お客様に評判も良く、加入してもらっている」としている。

KDDIではオンライン専用ブランド「povo」を展開しているが、前回の決算会見では「100万契約が見えているところ」だったのが「約100万件」ともう少しで到達しそうな口ぶりであった。

ただ、KDDIとしては、どちらかといえば、現在、プロモーション的にはpovoよりもUQモバイル推しのようで、povoにおいては、まだ様子見といった感が強そうだ。

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