感染拡大の止まらぬ百貨店が陥る「富裕層ばかりだから安心」という罠

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先日変更された新型コロナウイルス対策の基本的対処方針で、新たに入場制限の対象となったデパート地下の食料品売り場。これまで比較的「安全」と認識されてきた百貨店ですが、不特定多数の人が集まる場所での感染予防には、やはり限界があるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、そもそもデパートという業態は感染症に対する脆弱性を抱えていると指摘。その上で独自に着目した4つのポイントを解説し、自説を立証しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2021年8月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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そもそもデパートというのは感染症に脆弱な業態

いわゆる「デパ地下」つまりデパートの地下食料品売り場が、コロナ感染拡大を起こしているというニュースが続いています。その原因としては、人気化していて買い物客が密集しているからとか、バックヤードと言われる厨房や従業員の休憩ゾーンにおける感染対策が遅れているといった解説がされています。

そこで根本的な休業や、レイアウト変更などが行われないまま、現在は多くの店では「繁忙期の半数」をメドに、入店規制を行ったりして営業が続いています。

ですが、それ以前の問題としてそもそもデパートという業態には、新型コロナに対する脆弱性を抱えているという危機感が必要ではないかと思うのです。4点指摘をしておきます。

1つ目は商圏の広さです。デパートとスーパーを比較すると、客単価はデパートの方が高いわけです。ですから、デパートは富裕層が客であり、その他大勢が集まるスーパーより「客層は上」だから「安全」といった漠然としたイメージがあるようです。

この点がまず問題です。スーパーの商圏は普通は大きくはありません。東京や大阪などの「クルマ社会ではない」住宅密集地域の場合は、スーパーの商圏は徒歩圏であり、しかも購入した荷物を考えると通常の徒歩圏より半径は狭いと考えられます。300メートルとか、400メートルといった商圏です。

ですから、スーパーというのは基本的には「ほとんど同じ人々が定期的に来店する」だけということが言えます。これに対して、デパートの商圏は大きいです。旗艦店舗ともなれば新幹線で来店する客もありますし、そうでなくても徒歩圏ということは全くなく、電車で1時間つまり半径50キロといった広大な商圏を対象にしています。

つまり、極端なことを言えば毎日全く違う客が入れ替わり立ち替わり入店するのがデパートということになります。ということは、スーパーと比較すると、桁違いに「異なった人々」が集まるわけで、人流とか密度といった数値とは別に、危険性、脆弱性がそこにあるわけです。

また、徒歩圏のスーパーと比較すると、来店するためには電車やバスなどの交通機関を利用するリスクがあり、また「せっかく銀座に来たのだから」ということで、飲食や観劇など多くのアクティビティを行ってから来店する場合もあります。直行直帰のスーパーとは違います。とにかく商圏が異なり、客の行動が全く違うということで、スーパーとは比較にならない危険度を抱えているのがデパートということになります。

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