心理学者が“警告夢”と判定した「不安で一杯な登山の夢」の意味は

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正夢、逆夢、悪夢に吉夢。毎日見ているらしい夢でもすぐに忘れるものもあれば、心に引っかかってずっと覚えているものもあります。今回は「世界の名峰の山頂アタックを前に不安に苛まれる夢」を見たという会社経営者からの相談に、メルマガ『富田隆のお気楽心理学』著者の富田隆教授が回答。ビジネスで何かチャレンジしようとしているのであれば「警告夢」であると診断し、慎重になるべきと諭しています。

山頂を見上げて

Question

shitumon

今年還暦の男性です。小さな会社を経営しています。妙に印象に残る夢を見ました。登山の夢です。実生活では、せいぜい「山歩き」程度の体験しかありませんが、昔から山に対する憧れは強く、『アイガー北壁』など新田次郎さんの山岳小説は読破しています。

夢の中では、エベレストかマナスルのような「世界の屋根」に挑戦している登山隊に自分も参加しているのです。夢の舞台は、登頂まであと少しというキャンプ地で、天気は良く、青空に山頂がそそり立っています。

ところが、夢の中の私は、この山頂を見上げながら、溜息をついているのです。隊員一同から登頂を任された名誉ある一員であるにもかかわらず、晴れがましい気分は無く、むしろ、得体の知れない不安感に苛(さいな)まれているのです。青空にそそり立つ山頂も、妙に「拒絶的」なように見えるのです。夢は、このキャンプ地で終わってしまい、最後の山頂を目指すシーンはお預けになってしまいました。

エアコンをつけたまま寝たのですが、起きた後、汗をかいていました。本来なら、楽しいテーマの夢のはずなのですが、何とも後味の悪い夢となってしまいましたので、少々気になり、ご相談させていただいた次第です。

富田隆先生からの回答

山は、父親の象徴であったり、理想や目標の象徴となる場合もあります。そして、山に登る夢は、努力して何かを成し遂げるとか、理想を追求する、といった、「向上心」に溢れる気持ちを表している場合が多いようです。

ところが、今回の夢は、登頂を目前にして迷い悩んでいる夢です。経営者としては、常に企業の目標を設定し、社員の先頭に立ち、これに向かって邁進して行かねばいけない、そんな立場にいるわけです。その貴方が、登頂することに「迷い」を感じている。そそり立つ山頂が、あなたを「拒絶」しているかのように感じている。これは、「警告夢」です。

現在、会社が目指している目標に対して、貴方は「疑念」を抱き始めたのではないでしょうか。たとえ、山頂を目の前にしても、必要なら「勇気ある撤退」を選択する。これは、社長であるあなたの特権であり、責務なのだと思います。会社の目標を変更し、方針を転換することによる損失は少なくないかもしれません。しかし、これまでの惰性に引きずられて意地を張り、崩壊した鉄橋に向かって機関車を突進させることは、もっと大きな悲劇を生み出す愚策です。

『論語』にもある通り、「過ちては改むるに憚(はばか)ることなかれ」です。自分の面目や周囲の目などを気にしている場合ではありません。

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