なぜジョブズや盛田昭夫は「学歴」を無視したのか?人材見極めのコツとは

 

さて「産業のコメ」という言葉をご存知のことと思いますが、高度成長時代は鉄鋼であり、1970年代後半以降は半導体がその位置にあります。1992年までは、日本が売上ランキング1位に君臨していたのですが、2020年の売上ランキングは、1位はインテル738億ドル、2位はサムスン電子605億ドル、日本勢ではやっとキオクシアが12位で107億ドルです。

ここでなぜ半導体のことをあげたのかというと、それは人材獲得の実例を知ってもらいたいからです。

サムスン電子が、半導体の売上上位にランキングできるようになったのは、それは日本の半導体の製造現場で活躍してきた熟年技術者に“やりがい”と“社会の生産的な一員”である仕事と収入を提供したからです。サムスン電子の親子にわたる会長の強い思いと着実な意思決定があってのことで、環境はともあれ日本の経営者の惨敗と言えるでしょう。

1986年、東芝大分工場生産ラインを統括担当する製造部長をスカウトして、大分工場と同等設備を有する製造工場を建設。1991年、バブル崩壊で事業撤退や工場閉鎖などで大掛かりにリストラされた多くの日本人技術者を高給でヘッドハンティングし、技術顧問として招聘して最新技術を確立させました。

人的資源が誰にも負けない力を発揮する条件は、強烈な“やりがいの目標”があり“社会の生産的な一員”として“活躍できる場”を与えられた時で、サムスン電子はこれを行ったのです。松下幸之助さんが「人間は本来働きたいもの。働くことをじゃましないことが、一番うまい人の使い方である」が、ありようの道理でしょう。

スティーブ・ジョブズは“選ばれる人達”についてこう言います。

「“偉大な製品”は、情熱的な人々からしか生まれない。即戦力になるような人材なんて存在しない。だから“育てるんだ”。お膳立てさえしてやれば、人は自分の『限界以上の仕事をやり遂げる』んだよ。大事なのは技術ではなく、それを使って何を生み出すことが出来るかだ」

ただし上記の言動は、さんざん人材を絞り上げ色々と失敗も経てきてのことで、これが最も成果が生む方法と実感しての結論です。だから、ここでの「育てる」には、深い含蓄と大きな威力があります。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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