まるで“歩く既得権益”。世襲議員の「食い物」にされる日本国民の不幸

 

「不祥事」が絶えない理由とは?

ところが残念なことに、これと同じ現象が、選ばれる側の議員のほうにも生じてしまうのですから、看過できないものがあるはずです。

衆議院議員は現在465人(選挙区289人、比例区176人)ですが、任期中にカネ絡みの事件、不適切言動などの不祥事が絶えないのは、「議員活動なんかテキトーにやっていても、有権者にはわからない」という傲慢な心理がはたらくからに他なりません。これも「リンゲルマン効果」でしょう。人数が多いので、マスメディアの監視の目も潜れるからです。それでもたまたまバレたら、秘書のせいにしたりで大慌てになります。また、「自分が頑張らなくても、誰かが頑張るだろう」という他人任せの無責任な「傍観者心理効果」すらはたらかせていることでしょう。

要するに、「国民に選ばれし者」「国民の代表」といった重責感や緊張感が、当選したとたんに消え失せてしまっている──としか思えないわけなのです。政権交代が起きかねない──といった緊張感や危機感がなければ、こうした議員たちも堕落するばかりなのです。

「世襲議員」がなぜ跋扈するのか?

ところで、なぜ与党議員を中心に、国会には「世襲議員」が多いのでしょうか。もちろん、国会議員だけでなく、議会開会日数が極端に少なく(年間80日以下)、報酬がべらぼうによい「怠け者の楽園」と揶揄される日本の地方議会も、世襲議員が多数跋扈しています(外国の地方議員は概ねボランティア報酬で議会も夜開かれるなど、給与所得者が住民代表の議員を兼業するケースが少なくない)。

理由の第一に挙げられるのは、日本の国会議員や地方議員が、世界一の高待遇だから──なのです。たとえば、国会議員の年間報酬は、歳費が1,561万円、期末手当が635万円、無税で何にでも使える文書通信交通滞在費が1,200万円、法律を作らなくてももらえる立法事務費が780万円の合計で4,176万円(月額平均348万円)になります。こんなに報酬が多いと国民の批判的な目が気になるので、とにかく名目を細かく分けて、税金からの高額報酬を支給されている──というわけなのです。さらに国民一人当たり250円の税金から、議員一人当たり4,400万円に相当する政党交付金が所属政党に配られ、その所属政党から分け前として1,000万円以上が議員に転がり込みます。

したがって国会議員の報酬は、合計すると最低でも年収5,000万円以上となるわけです。他にも企業や団体の役員報酬や株主配当金などの収入も期待できます。おまけに、奴隷のようにコキ使える3人の公設秘書の年間合計給与2,400万円から、議員の政治資金団体に数百万円の寄付を強要する国会議員も少なくない──というのですから、まさしく銭ゲバ状態なのです。他にも、利権の口利きのために政治献金(団体献金と、団体の限度額を超えた分を偽装するための個人献金)を集めますから、国会議員は政治活動と称していろいろ儲かるのです。06年に「週刊現代」が報じて発覚した事件では、小沢一郎衆院議員の政治団体「陸山会」がゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢議員の個人名義で登記していたことが問題になっています。議員への直接献金は禁じられていても、政治資金団体経由であれば、個人資産の形成も容易に図れる構図が見て取れるわけです。

また、国会議員への現物支給では、議員会館の家賃・電話・水道光熱費がタダです。赤坂などの都心の一等地にある議員宿舎は、3LDKがたったの8.4万円の家賃で住めます。JRグリーン車は乗り放題で、地元との航空券チケットは月に4回分支給されます。なお、新規の議員年金は廃止されましたが、勤続10年の最低水準で月額29万円からの年金をもらっている議員もいます。このように日本の国会議員は、アメリカの上下両院議員(議員への直接報酬は2,000万円程度)よりも、はるかに恵まれた世界一の高待遇ですから、議員は何とか自分の子息などを、自分の後継者にしたいと望みます。せっかく歴代議員たちが、お手盛りの議決で高待遇の身分を作り上げてくれたのですから、その恩恵をいつまでも自分たち一族としても享受したくなるわけです。国会が「世襲議員」だらけになる理由の第一がこれなのです。

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