まるで“歩く既得権益”。世襲議員の「食い物」にされる日本国民の不幸

 

「3バン」というオイシイ継承財産!

もう一つの原因として、「世襲」は、当選しやすい──という理由もあるでしょう。選挙は「地盤(利権にまみれた地元後援会組織)」「看板(地元での先代からの知名度)」「カバン(政治資金団体の資金)」の「3バン」が当選に重要な要素といわれます。

本来「政治資金団体」は、当該議員が引退したら、資金は国庫に帰すべき性格のカネでありながら、世襲候補は驚くべきことに、先代の「政治資金団体」を無税でそのまま継承出来ます。与党議員を中心に、これまでこうした抜け道だらけでザル法の「政治資金規制法」を作ってきたため、「政治とカネ」の問題はいつまでたっても不透明なままなのです。まずは、利権口利きの活動を禁止させ、まともな政治活動に取り組ますためにも、「合法ワイロ」と呼ばれる「政治献金」だけは、一切禁止すべきでしょう。

もともと政党交付金導入時(1994年)に、近い将来には団体献金をやめると約束したにもかかわらず、未だにやめていないのですから、国民への背信以外の何物でもないのです。米国で銃乱射事件が頻発し、国民が銃規制を求めても実現しないのも、全米ライフル協会という業界団体が、ロビー活動で「政治献金」を議員にバラ撒いているからです。日本は反面教師にすべきでしょう。

「ザイアンスの法則」が世襲候補を当選有利に導く!

ところで、国会が世襲議員だらけの「世界の奇観」を呈しているからといって、「それが悪い!」とは一概に断罪できません。選挙区の有権者が選んだ民主主義の立派な結果に他ならないからです。

しかし、当選に必要な「3バン」が圧倒的に有利にはたらく、こうした選挙のメカニズムを見ていると、けっして公平とは思えないのです。なぜ、有権者は、「世襲候補」に甘いのでしょうか。それは、アメリカの心理学者ザイアンスが解き明かした「ザイアンスの3法則」に適っているから──といってよいでしょう。

  • 人は見知らぬ人には冷淡に対応する
  • 人は会えば会うほど親しみを感じる
  • 人はその人の人間的側面を知るほどに、より親近感を抱く

つまり、世襲候補は、先代と顔つきが似ていたり、苗字が同じだったりで特徴的なのです。そのうえで、こうした世襲候補に地元の人たちが単純接触を繰り返していると、人々は親近感を抱きやすい──ということなのです。世襲候補の人物像も、先代とセットで語られますから、それだけでも、他の新人候補と比べ、親近感を抱きやすいわけです。「誰に入れてよいのかわからない」といった有権者には、世襲候補は地元で長年やってきた先代政治家の延長線上で捉えやすい存在でもあるでしょう。よく知らない候補者に一票を投じるよりも、「慣れ親しんだ世襲候補に入れてしまえ 」といったお気楽な気持ちに有権者をさせるのかもしれません。

いずれにしろ、必ずしも世襲候補者が有能であるとは限りません。もっと適切な能力を有した候補者が他にいるかもしれないのです。政治に緊張感をもたらすうえでも、国民の投票行動は重要でしょう。世界一待遇のよい国会議員を選ぶのですから、その報酬に見合った候補者なのかどうか──を慎重に見極めていきたいものなのです。来たる10月31日(日)には、ぜひ、あなたも投票所に足を運んでください。政治に緊張感をもたらすためにも、それはとても大事な行動だからです。

(※本記事は新創刊の有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年10月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。10月中のご登録で10月分の全号が無料で届きます)

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ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。

著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。

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