学校という“ブラック企業”を炙り出した「教師のバトン」の大炎上

shutterstock_1017344845
 

質の高い教師を確保するためには「現職の教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうことが重要」(文科省HPより)とのコンセプトのもと、文部科学省が教師たちにSNS上への投稿を呼びかけた「#教師のバトン」なるプロジェクト。しかし発信された内容は文科省の思惑とは裏腹に過酷な教育現場の「惨状」を訴える声ばかりとなり、大炎上の結果となってしまいました。そんな状況を予想していたというのは、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。阿部さんは今回のメルマガ『伝説の探偵』でその理由を綴るとともに、失敗に終わったと言っても過言ではない当プロジェクトを、「働き方改革の一環」として仕切り直すという逆転の発想的提言を行っています。

メルマガのご登録により阿部さんの活動を支援することができます

 

大炎上した「教師のバトン」は潰えたのか?

教師のバトンとは?文科省の案内ではこうある。

現場で日々奮闘する現職の教師、また、教職を目指す学生や社会人の皆さんで、学校での働き方改革や新しい教育実践事例、学校にまつわる日常のエピソードなどを、Twitter等でシェアしませんか?

「ハッシュタグ(#)教師のバトン」でツイートしよう!と。

dt20211110-1

しかし、多くは、「残業代無し」「ブラック企業だ」「部活動やめてください」「教師なんかになるな!」などとの批判的ツイートで開始の3月26日から大炎上を記録し、燃え続けたまま、11月9日現在(2021年)確認する限り、プロジェクトは終了してはいないが、文科省の「教師のバトン」アカウントは、9月17日11時の「教員免許更新制に関する審議のポイントについて」を最後にツイートはしていない。

もはや、「#教師のバトン」プロジェクトは潰えたといえる形となっている。

dt20211110-2

仕事としての魅力を感じてもらい教職を目指す人を増やそう

教員の仕事は年々増えているように感じる。例えば、英語教育の導入や、このところ問題となることが多い一人一台の端末を貸与するというGIGAスクール構想に関する管理など、省庁によくある何かを始めるには何かを解体するというようなスクラップアンドビルドはなく、常に追加で業務が増えていくわけだ。

私はいじめ問題で学校の現場を目の当たりにすることが多いが、真面目にしっかりと対応するタイプは土日祝返上で、始発から終電まで働き、ストレスフルな状態で身体を壊しやすい傾向がある一方で、全く何もやらない人は、図太く逃げの一手に終始する。

少し見聞きしている程度の私ですら、現場の異常性はわかるのに、教育を司る文科省がこの状況に気が付かなかったわけはないだろう。

その状況の中で、「仕事としての魅力を感じてもらい教職を目指す人を増やそう」という目的で、「教師のバトン」を始めたのだとすれば、これは「失策」であったといえよう。

メルマガのご登録により阿部さんの活動を支援することができます

 

print
いま読まれてます

  • 学校という“ブラック企業”を炙り出した「教師のバトン」の大炎上
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け