1.事業の“目的を考える”役割がある
「われわれの事業は何か。何であるべきか」を考えなければならない。この役割から
(1)目標の設定
(2)戦略計画の策定
(3)明日のための意思決定
という役割が派生する。
2.“基準を設定”する役割
組織全体の規範を定める役割。目標と実績との違いに取り組まなければならない。ビジョンと価値基準を設定しなければならない。
3.“組織をつくり上げ、それを維持する”役割がある
組織の「精神をつくり上げなければならない」。“トップマネジメントの行動、価値観、信条”は、組織にとっての“基準になり、組織全体の精神”を決める。加えて“組織構造を設計”しなければならない。
もとより一人でなす必要はなく「われわれの事業は何か。何であるべきか」や“価値観”については一人が決めなければならないけれど、その他については「劉邦」のように“傑物”の言わんとするところをよく聞き、判断して立案すればよいと言えます。実行については、基準を決め適格者に委任すればよいと言えます。
さらに言うと“成果を実現”させるためには、劉邦のように「傑物をはじめとして、すべての“人の強み”を活用」することです。そこのところをドラッカーは以下のように言っています。
成果をあげるためには、“人の強み”を生かさなければならない。利用できる限りの“あらゆる強みを総動員”しなければならない。”強みこそ機会である”、強みを生かすことは組織の特有の機能である。
組織の役割は、一人ひとりの強みを、共同の事業のための建築用のブロックとして使うところにある。
人に成果をあげさせるためには、一つの重要な分野における“卓越性”を求めなければならない。人の卓越性は、一つの分野、あるいはわずかな分野において実現されるのみである。
またいつものように松下幸之助さんを引き合いに出すのですが、
「天は二物を与えず」と言うが、逆に「なるほど、天は二物を与えないが、しかし一物は与えてくれる」ということが言えると思う。その与えられた一つのものを、大事にして育て上げることである。
すべての人を自分より偉いと思って仕事をすれば、必ずうまくいくし、とてつもなく大きな仕事ができるものだ。
なすべきことをなす勇気と、人の声に私心なく耳を傾ける謙虚さがあれば、知恵はこんこんと湧き出てくるものです。
他人はすべて自分よりもアカンと思うよりも、自分よりエライのだ自分にないものをもっているのだ、と思うほうが結局はトクである。
私には3つの財産がある。それは学校へ行かなかったこと。健康に優れなかったこと。そして、決断に弱かったことだ。だから、人が教えてくれたり、助けてくれたりして成功した。
けれど「決心することが、社長と大将の仕事である」とも言います。
経営者が成果を実現するために必要なのは“カリスマ”や専門的な能力ではなくて、経営者としての責任感、使命感、熱意、考え方です。自分より優れた能力を持つ部下を育てて活かすのが経営者の仕事です。
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